「リニア新線の建設費は研究の余地」

――財源をどう考えているのか。需要予測はしているのか。

松沢 財源はですね、建設費が1兆3000億円と言うのもおおむねの試算ですから、どれぐらいかかるかというのはもう少しこれから。シンクタンクにも研究を依頼して、専門的にやってもらいたいと思っています。国土交通省はこれに消極的でしたんで、こんなことやると3兆円かかるよと言われています。自民党は積極的なんです。研究する勉強会ができていますから。自民党では2兆円ぐらいかかるだろうと言われていて、それぐらいの幅があるんですね。私たちは大深度地下を使ってやれば、1兆3000億円でできるという主張。ですから、これは今後研究が必要です。

 研究しておおむねこれぐらいという積算ができたとしたら、第一義的には国ですよね。上下分離が必要になると思います。運営はJR東日本にやってもらう。路線の建設は国が中心となって、それに地方負担が加わるのか、事業者負担が加わるのか。ただ、国が中心になっていただかないとできないプロジェクトだと思います。そういう面についてもこれからの協議ですよね。

――前政権の時も大臣にリニアの説明をしている。それと比べて前原大臣の感触はどうか。

松沢 前原大臣自身が、ハブ空港機能を強化しないと日本自身の経済の成長にも影響を与えるということで、羽田の国際機能の強化、首都圏のハブ空港強化を言い出したんですね。ですから、その大きな目的のためには、本当に強化するには、運用で一体化するだけではなくて、物理的に有機的に一体化させるというこの発想は、なかなか全面否定することは難しいと思うんですね。そういう意味で、こんなものは絶対できない、無駄な公共事業だという反応はありませんでした。まだやろうとは言えないと思いますけれど、私は前政権よりも感触はいいと思っています。

 前政権のとき、(当時の)冬柴(鉄三)大臣に要望に行ったときには、構想は分かるし、夢を持つことはいいことだけど、まず整備新幹線があるんだよ、やらなきゃいけないことは。こういう発想で、こんなこと今言われても無理だよというのがにじみ出ていましたが、前原大臣はそういう言い方をされませんでしたし、「成長戦略会議でぜひとも話をしてみてほしい」と言っていただけたんで、多くの専門家の皆さんにもお伝えして、議論を巻き起こしたいと思っています。

――具体的に前原大臣とはどういうやり取りがあったのか。

松沢 この構想について、賛成、反対はありませんでした。「うーん、うーん」とずっと聞いてくださいました。そして最後に「成長戦略会議で知事が訴えたいなら、ぜひやってほしい」ということで、事務局を担当している人と名刺交換させていただいて。できれば早いうちに、専門の方が集まっていますよね、そういうところで神奈川の構想を皆さんに訴えてみたらという形で紹介をいただきました。

――国土交通省のスタッフの参加については?

松沢 そうですね。そこまで確認することができなかったんですが、トップの人が参加すると、国土交通省も一緒にやると思われますが、専門の技官のような方が、果たして可能性があるのか、千葉と神奈川の間でどんな話をしているのかというのは聞いてほしいですし、私たちも国からみた専門的なアドバイスもいただきたいんで、これは継続してお願いしたいと思っています。国土交通省も勉強すべき課題じゃないかと思うんですね。協力していただけるんじゃないかと期待しています。