「首都圏共通の課題だ」

――知事の主張は分かったが、知事という立場で神奈川県にとっての効果を説明してほしい。

松沢 私は、神奈川県民の代表でもあります。神奈川県民にとって、羽田空港はすぐ多摩川の向こうですから、神奈川の一部のようなものです。ここに行くのは、アクセスも良くなって便利になりました。ところが海外旅行に行く時に、成田に行くのが本当に遠い。横浜からバスでも1時間半。これは、すいていてですね。渋滞したら2時間以上かかります。成田エクスプレスに乗って行っても1時間半から2時間かかる。かなり疲れるし、時間というのが非常に重いんですね。これが羽田空港に国際機能が移ってくる、また、成田を使う場合でも横浜からわずか10分ということになれば、神奈川県民の空港へのアクセス、利便性も飛躍的に向上すると考えています。

――ルートを見ると東京も通る。例えば、石原(慎太郎・東京都)知事への打診はしたのか。

松沢 前回の首都圏サミットで、この構想を打ち出しました。ただ、初めてだったもので。東京の方では、日暮里に来る成田新高速鉄道の整備に千葉県と一緒にお金を出しています。とりあえず、それを先にやらせてくれと。リニアというのは、比較的短距離ですね、東京-大阪間に比べると。使えるのか、色々勉強しなければいけないんでまだ、これから検討だなということで賛同までは至っていません。ただ、千葉県の森田知事は、私、選挙のとき、マニフェストに入れようよと、一緒にやろうよと相談もしましたので、マニフェストにも入っていますし、神奈川と千葉で研究協議会をつくって一緒に進めている。

 今後の首都圏サミットでも、研究が進むたびに皆さんに訴えかけて、できれば首都圏全体でこういうものが必要だというコンセンサスをつくって、国や、あるいは事業主体としてはJR東日本が一番可能性があるんでしょうか、こういうところにも取り組んでいただけるように私たちから要望していく。もしかしたら、将来財政はどこも厳しいので、地方負担というのもあり得るかもしれません。

 いまリニア中央新幹線をつくるのも、駅は地方負担と言われていますから。JR東海も国交省も出さないと。駅がほしいなら地方でやってねと。私は駅も含めて鉄道施設だと思っていますが、地方も財政厳しいんで。将来的にはそういうことも考えられると思います。首都圏サミットを使ってコンセンサスづくりをやっていきたいと思います。