ケンセツ的視点

やはり大手は高水準、建設・不動産150社の給与

2009/09/29

 大学生の就職活動が本格化する季節を迎える。就職活動中の学生に「会社選びで何を優先するか」と聞くと、「やっぱりお金ですよ」という言葉が返ってきた。別の機会、あるゼネコンの中堅社員に「報酬に満足しているか」と問うと、「初任給は、ほかの産業と比べても高いほうだったが、40歳を超えて周りを見ると決して高くない」と答えた。

 景気の低迷で就職すること自体が難しくなっている。けれども、報酬を抜きに生活設計はできない。建設・不動産分野の給与水準が会社によってどれくらい違うのか。公表されている有価証券報告書を基に比べてみた。

 建設・不動産に関係する主要な企業150社を選び、平均年間給与と平均年齢の関係を示したのが下のグラフだ。縦軸が平均年間給与、横軸が平均年齢である。職種や会社規模などによって色分けしてみると、いくつかの傾向が浮かび上がる。

150社には、なるべく多くの業種が含まれることを優先し、同業種では従業者数の多い企業が入るようにした。従って、給与水準が高くても、従業員数が少ない会社は載せていない。業種は編集部の判断で分けた。証券取引所の業種分類とは一致していない。2009年9月4日時点で直近の有価証券報告書を参照した。会社ごとに平均給与や平均年齢の時点は異なる

 グラフ全体を山に見立てると、頂上付近に位置する青い四角は大手不動産会社だ。少し下がって右側に見える赤い丸は大手建設会社。右側の山の中腹からふもとにかけて点在するピンクの集団は大手以外の建設会社、黄色の四角は建設系コンサルタントだ。そして、左側の中腹からふもとに固まっている水色の四角は不動産会社である。

 給与水準の高さで比べれば、大手不動産会社4社が高く、次いで大手プラント会社3社、大手建設会社5社という傾向が読み取れる。不動産会社や住宅会社の平均年齢に比べて、建設会社や舗装・道路会社、建設系コンサルタントの平均年齢は高い。以下、業種ごとに見てみよう。

年間給与が1000万円を超える大手不動産4社

 青い四角は、三菱地所、三井不動産、東急不動産、東京建物の4社だ。40歳前後で年間平均給与1000万~1100万円。給与の高さにおいて、トップ集団を形成している。建設・不動産以外の産業と比べても高い水準だ。

 サブプライムローン問題の影響で新興不動産会社の経営破綻が相次ぎ、不動産業全体が「危ない職種」と見られる時期もあった。しかし、ここに登場する大手4社は、前期比で減らしたとはいえ100億円を超える純利益を確保し、高い給与水準を保っている。

社名 平均年間給与(円) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 従業員数(人)
三菱地所 11,391,600 40.4 16.6 759
三井不動産 10,969,000 41.3 11.9 1,154
東急不動産 10,913,619 42.1 17.3 587
東京建物 10,439,858 39.3 9.8 448

 水色の四角は、先の大手を除く不動産会社だ。左に偏っているのは、全体のなかで平均年齢が低いことを示している。後に登場する建設会社や建設系コンサルタントなどに比べると、営業職が多いことも特徴だ。

 ここでは「不動産会社」でひとくくりにしたが、その業態は多様だ。例えば、大京はマンション分譲が主体でイオンモールは商業施設のデベロッパー、エイブルは住宅の賃貸仲介や賃貸管理が主体の会社だ。

 従業員数が少ないのでこのグラフの対象にはしていないが、不動産投資を手がける会社には、少人数で高い給与水準の企業がある。例えば、リサ・パートナーズが32歳で892万円、ランドビジネスが43歳で1225万円といった具合だ。

社名 平均年間給与(円) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 従業員数(人)
大東建託 8,910,570 40.8 5.5 9,109
コスモスイニシア 8,887,491 37.1 11.2 632
NTT都市開発 8,496,372 42.3 14.9 400
有楽土地 7,649,189 41.8 15.7 306
イオンモール 7,279,375 38.5 6.7 549
大京 7,161,015 37.8 8.8 1,629
住友不動産販売 6,570,841 34.6 7.9 2,975
東京建物不動産販売 6,526,451 38.0 7.3 510
住友不動産 6,469,414 41.1 5.9 3,609
東急リバブル 6,355,782 35.4 8.6 2,428
藤和不動産 6,327,233 36.3 10.6 684
レオパレス21 6,069,512 33.7 4.1 9,017
東建コーポレーション 5,987,000 37.8 3.6 5,537
アトリウム 5,922,000 37.2 3.3 420
パーク24 5,717,000 33.3 4.7 457
日神不動産 5,047,490 31.7 6.5 259
リゾートトラスト 4,745,892 32.2 5.8 3,887
エイブル 4,063,716 34.0 3.9 3,294

 白丸で記した住宅会社は、水色の四角で記した不動産会社と同じように、グラフの左側に寄っている。平均年齢が若いからだ。理系大学生を対象にした就職人気ランキングで上位に入る積水ハウス、住友林業、大和ハウス工業などは38歳前後で700万~780万円の水準だ。

社名 平均年間給与(円) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 従業員数(人)
積水化学工業 8,797,885 42.0 18.3 2,292
住友林業 7,757,109 38.9 11.8 4,547
ミサワホーム 7,480,013 41.5 15.6 738
大和ハウス工業 7,131,918 37.5 12.9 13,660
積水ハウス 7,006,228 37.7 13.9 14,953
三井ホーム 6,743,239 37.2 12.1 2,025
パナホーム 6,549,189 39.1 15.2 4,273
フジ住宅 5,705,721 36.4 6.1 317
ヤマウラ 5,560,381 39.6 9.4 369
東栄住宅 5,254,180 35.1 6.2 489
タクトホーム 4,426,645 33.7 3.5 325
飯田産業 4,690,410 34.4 5.3 474
東日本ハウス 4,637,816 36.4 10.2 1,331
アーネストワン 4,568,114 33.4 3.2 568

建設大手5社は880万~930万円

 赤い丸の集団は、「スーパーゼネコン」と呼ばれる建設大手5社。鹿島、大成建設、清水建設、竹中工務店、大林組といった売上高や受注高の規模の大きい企業である。年間給与880万~930万円は建設・不動産分野のなかでも高い水準だが、平均年齢も42歳~45歳と高い方に位置する。

社名 平均年間給与(円) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 従業員数(人)
鹿島 9,359,168 44.2 19.2 8,705
大成建設 9,201,645 42.9 19.7 8,446
清水建設 9,054,000 45.4 20.2 9,055
竹中工務店 8,905,768 45.4 21.7 7,602
大林組 8,805,684 44.5 20.5 9,294

 ピンクの丸で示した建設会社を見てみよう。先の大手と、ここに示した準大手以下との間には、売上規模だけでなく年間平均給与の面でも歴然とした差があることが分かる。

 このグループのなかでは、マンション建設に強い長谷工コーポレーションの839万円が最も高い。以下、五洋建設、戸田建設、前田建設工業、西松建設などが700万円台で続いている。平均年齢は、新日本建設を除くとすべて40歳代だ。

社名 平均年間給与(円) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 従業員数(人)
長谷工コーポレーション 8,393,146 41.5 17.6 2,089
五洋建設 7,508,087 43.6 20.0 2,731
戸田建設 7,329,466 45.8 19.3 4,116
前田建設工業 7,213,660 41.5 16.8 2,739
西松建設 7,192,000 43.0 18.0 3,426
東急建設 7,138,940 45.1 20.9 2,434
大和小田急建設 7,123,637 42.6 18.5 800
北野建設 7,113,982 43.1 19.1 562
奥村組 7,112,727 44.1 20.4 1,974
フジタ 7,110,732 44.4 20.1 2,238
東鉄工業 7,108,118 45.8 11.2 1,523
安藤建設 7,037,809 42.5 17.5 1,747
ナカノフドー建設 7,006,742 44.8 15.3 810
鉄建 6,953,093 46.0 19.9 1,784
不動テトラ 6,911,670 47.7 22.5 793
名工建設 6,897,000 40.0 16.0 1,149
大本組 6,753,000 44.0 19.7 825
青木あすなろ建設 6,706,000 43.8 18.0 902
東亜建設工業 6,691,101 43.3 18.2 1,592
矢作建設工業 6,654,671 40.4 16.9 798
ハザマ 6,650,734 45.2 20.3 2,070
飛島建設 6,444,588 44.7 20.9 1,442
熊谷組 6,444,505 43.6 20.1 2,596
浅沼組 6,443,478 43.7 20.9 1,643
イチケン 6,372,012 40.6 13.5 517
銭高組 6,335,491 46.1 21.8 1,437
東洋建設 6,298,967 43.1 18.2 1,303
松井建設 6,286,814 43.2 16.2 792
第一建設工業 * 6,258,612 42.6 13.2 928
大末建設 6,223,778 45.4 19.9 694
三井住友建設 6,200,000 44.2 20.9 3,055
太平工業 6,150,000 41.6 15.5 4,880
ピーエス三菱 5,957,147 41.8 17.6 1,258
植木組 5,947,353 45.1 20.8 576
若築建設 5,911,057 42.5 17.8 662
大豊建設 5,829,420 42.6 18.2 948
南海辰村建設 5,700,000 42.8 18.5 410
森組 5,563,665 42.4 19.1 357
佐田建設 5,257,051 44.1 22.0 414
福田組 5,248,821 43.1 18.0 911
徳倉建設 5,172,000 44.0 16.4 385
巴コーポレーション 5,146,455 45.9 22.2 355
守谷商会 4,841,843 42.0 17.0 313
新日本建設 4,800,683 34.9 8.8 384

 茶色の丸で示した舗装・道路工事会社の給与は、建設会社と似たような水準といえるだろう。このグループトップは新日本石油の子会社であるNIPPOコーポレーション。年間給与は46歳で827万円だ。

社名 平均年間給与(円) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 従業員数(人)
NIPPOコーポレーション 8,276,000 46.2 18.8 2,370
前田道路 7,977,000 40.4 16.6 1,749
日本道路 7,508,480 45.0 21.5 1,348
大成ロテック 6,989,259 44.4 20.2 1,170
鹿島道路 6,955,000 44.1 19.6 1,092
大林道路 6,889,654 41.7 17.0 1,107
東亜道路工業 6,455,000 44.3 20.0 1,018
三井住建道路 6,336,503 43.4 16.0 364
佐藤渡辺 5,384,301 44.5 21.7 517

建設系コンサルタントは日本上下水道設計がトップ

 建設分野の調査、計画、設計などを担う16社を建設系コンサルタントとしてひとまとめにした。グラフ上では黄色の四角で表している。建設会社と同様、土木学科や建築学科を卒業した技術者が多い。このグループで平均年間給与が最も高いのは、上下水道の分野で専門的なノウハウを有する日本上下水道設計の826万円だ。

 ちなみに日本上下水道設計は、土木の総合情報誌「日経コンストラクション」が2009年9月11日号に掲載した建設コンサルタント売上高ランキングで15位だった。表の上から2番目の建設技術研究所は売上高ランキング3位、3番目の福山コンサルタントは40位、4番目の日本工営は1位となっている。

社名 平均年間給与(円) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 従業員数(人)
日本上下水道設計 8,266,085 42.8 16.0 439
建設技術研究所 7,932,842 40.9 12.3 1,218
福山コンサルタント 7,892,500 42.8 13.9 225
日本工営 7,557,003 43.5 16.6 1,389
構造計画研究所 6,774,986 38.4 12.6 545
長大 6,607,000 43.5 13.0 596
パスコ 6,324,763 39.0 10.7 1,192
いであ 6,308,000 42.6 13.7 910
川崎地質 6,299,017 48.5 15.3 281
大日本コンサルタント 6,255,872 43.0 15.2 575
アジア航測 6,235,053 42.2 14.2 799
応用地質 6,165,167 41.5 15.1 1,064
オオバ 6,093,000 43.1 17.2 476
協和コンサルタンツ 5,691,521 41.1 9.9 155
オリジナル設計 5,548,330 45.0 13.8 300
ウエスコ 5,379,014 42.9 14.4 501

JRよりも給与水準が高い高速道路会社

 グラフの中央から少し上に位置する緑色の三角の5社は、以前は「○○道路公団」と呼ばれ、その後民営化された高速道路会社だ。平均年齢40歳~42歳で、年間給与790万~905万円。平均給与の高さで比べれば、主要な鉄道会社や電力・ガス会社よりも高い位置にある。このなかで最も高い首都高速道路会社は、42歳で905万円の年間給与だ。

社名 平均年間給与(円) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 従業員数(人)
首都高速道路 9,052,406 42.7 17.3 1,119
阪神高速道路 8,352,730 42.0 16.5 761
東日本高速道路 8,191,785 41.6 19.4 2,253
中日本高速道路 8,160,444 41.7 18.0 2,111
西日本高速道路 7,987,133 40.9 19.0 2,559

社名 平均年間給与(円) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 従業員数(人)
東海旅客鉄道 7,539,425 38.8 14.3 16,595
西日本旅客鉄道 7,063,704 40.7 15.6 25,824
東日本旅客鉄道 6,889,749 42.1 16.3 52,484

社名 平均年間給与(円) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 従業員数(人)
関西電力 8,090,326 40.5 20.4 20,177
東京電力 7,596,450 40.4 20.6 35,926
東京ガス 7,307,789 45.9 22.5 7,579
大阪ガス 7,020,161 42.6 21.0 5,477

プラント大手3社も高水準

 ここまでの分類に入らなかった建設系企業をまとめて「その他」と位置づけた。グラフ上には×印で記している。このなかで、給与水準が高いのは日揮、千代田化工建設、東洋エンジニアリングなどのプラント大手3社だ。いずれも平均年間給与が900万円台で、大手建設会社5社よりも上に位置している。

 商業施設や展示施設の設計・施工などを手がける乃村工芸社は868万円、丹青社は687万円。建築確認検査業務の受託会社として知られる日本ERIは619万円だ。

 掲載対象とした150社のなかで、平均年齢が最も高く、平均年間給与が最も低かったのは建物管理大手の日本管財。50歳で341万円だ。ただし、有価証券報告書に記されたこの数値を見て、給与が低い会社と判断するのは早計だ。同社は清掃、警備、設備といった現業部門を有し、現業部門と非現業部門とで給与体系は異なる。公表されているのは現業と非現業を含めた値だ。

社名 平均年間給与(円) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 従業員数(人)
日揮 9,584,813 42.7 15.0 2,069
東洋エンジニアリング 9,551,916 45.2 19.0 1,088
千代田化工建設 9,429,648 43.8 17.1 1,290
高砂熱学工業 8,755,040 42.9 20.1 1,678
乃村工芸社 8,684,215 41.9 16.7 822
大気社 8,361,425 40.8 18.2 1,419
三機工業 7,160,540 42.6 18.9 1,947
協和エクシオ 6,955,000 41.1 16.0 3,466
丹青社 6,874,454 39.5 12.6 950
日本リーテック 6,325,000 43.0 15.9 588
ライト工業 6,294,051 43.8 17.6 911
日本ERI 6,190,000 49.1 3.6 634
日特建設 5,944,799 43.5 18.4 777
日本基礎技術 5,357,604 41.5 16.0 368
日成ビルド工業 4,777,791 42.6 13.3 520
夢真ホールディングス 4,092,000 31.0 2.9 1,192
東京美装興業 3,939,000 45.1 8.8 1,789
共立メンテナンス 3,686,723 48.7 5.4 1,865
日本管財 3,419,818 50.4 5.6 3,402

 建材や設備、建設機械、オフィス家具などを扱うメーカーには、建設分野の学生を積極的に採用する企業もある。いくつかの企業の給与水準を参考に示した。

社名 平均年間給与(円) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 従業員数(人)
旭硝子 8,087,562 40.9 17.7 6,110
コマツ 7,685,380 38.6 15.9 7,818
日本板硝子 7,384,982 41.3 18.2 2,374
パナソニック電工 7,367,000 41.4 19.8 12,240
太平洋セメント 7,265,359 41.4 19.6 2,173
内田洋行 6,794,490 40.0 16.1 1,142
住友大阪セメント 6,677,780 39.6 17.3 1,328
ニチハ 6,343,000 39.2 13.3 1,270
岡村製作所 6,296,104 40.7 15.9 2,851
TOTO 6,067,915 42.0 17.0 7,642

高い給与が続くとは限らない

 会社によって高かったり低かったりする給与だが、この先もずっと同じだとは限らない。当然のことだが、利益を確保できなければ人件費は削られる可能性が高いし、会社の存続さえも危うくなってくる。給与は、産業界や個々の企業を取り巻く環境によって変動するものだ。

 具体例を挙げよう。数年前まで業績をぐんぐん伸ばし、高い給与水準で人気を集めた不動産投資会社だが、サブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機の影響を受けて窮地に陥った。

 不動産ファンド運用のケネディクスは、2008年12月期の連結最終損益が赤字に転落した。業績悪化に伴い、2007年末に1238万円だった平均年間給与は08年末に777万円に減っている。

 08年5月末時点に、33歳で947万円の給与だった不動産投資・運用のクリードは、市況悪化によって物件売却や人員削減、本社移転、支店閉鎖といった経営合理化に取り組んだ末に経営破綻。09年1月に会社更生手続きを申請して開始決定を受け、8月には更正計画が認可された。

 パシフィックホールディングス(08年6月に持株会社体制に移行。以前はパシフィックマネジメント)の平均年間給与の推移を見てみよう。04年が903万円、05年が1183万円、06年が1455万円、07年が1325万円と高い水準を保っていたが、08年は829万円になった。09年3月、同社は会社更生手続き開始を申請し、その後、開始決定がなされた。

就職先選びのチェックポイント

 ここまで“給与=お金”の話をしてきたが、就職先を選ぶ際の判断のよりどころはお金だけではない。福利厚生が充実していて快適な会社だってある。これまでの就職・転職に関する取材を基に、就職先選びのチェックポイントを五つ挙げてみた。給与(お金)は条件の一つにすぎないということを指摘しておきたい。

(1)仕事自体にやりがいがあるか
(2)休みはきちんと取れるか
(3)上司や仲間に恵まれるか
(4)会社や産業に将来性があるか
(5)報酬に満足できるか

 「仕事自体のやりがい」は事前の調べで、ある程度、把握できるだろう。「休み」は公表されている内容と実態が違うこともあるので、先輩などによく聞いた方がいい。特に工事現場が最前線の建設会社は、内勤者と外勤者の休み方が異なることもある。一般の人たちが休みの時でなければできない工事もあることを知っておこう。

 「上司や仲間」は会社に入るまで分からないし、自分では選べない。運が大きく左右するところだが、経営者の考えや会社全体の雰囲気が従業員の姿勢に影響する面もある。会社選びの時点では、「将来、この人と仕事をしたい」と思える人がいるかどうかが、一つの判断材料になるだろう。

 「会社や産業の将来性」を予測するのはとても難しい。一般論としては、市場が拡大していく分野で競争相手が少ないと、会社は業務を拡大していく。その場合、従業員の給与も高くなる可能性がある。一方で、先に紹介した新興の不動産投資会社のように、経済情勢の変化によって突然、経営破綻に追い込まれるケースもある。

 建設産業は、これまでも市場の縮小、競争相手の過多という構造的な問題をかかえていた。そうしたなか、民主党政権の誕生によって将来はますます読みにくくなっている。例えば高速道路無料化は、高速道路会社にどのような影響を及ぼすのか。リフォーム推進は住宅に関係する企業に何をもたらすのか。

 リニア新幹線など、計画中の大規模プロジェクトの行方も、産業や企業への影響因子として気になるところだ。将来、リニア計画区間の航空や道路の事業に打撃を与えるかもしれない。

 日本市場はじり貧でも、経済発展する外国に進出して成功するという展開もあり得る。他社にはない技術を開発して、先頭に立つことも考えられる。将来を読むのは難しいが、中期経営計画や経営者の言動から、会社の独自性や方向性をある程度、知ることはできそうだ。


<訂正>
・初出時にイチケンを不動産会社と分類して表に掲載しましたが、誤りでした。表の掲載場所を建設会社に改めます。これに伴い、記事冒頭のグラフを修正しました。(2009年10月22日 17時35分)

<追加情報>
・当初、主要150社を掲載しましたが、第一建設工業の申し入れを受けて、掲載条件を満たす同社を建設会社の一覧に追加しました(*印)。これに伴い、表の掲載会社数は151社となります。記事やグラフは150社を前提にした初出時のままとしています。(2009年10月1日 15時00分)

菅 健彦ケンプラッツ