6月12日にケンプラッツが掲載した記事、「接待は受けません」、竹中工務店が行動規範に、多数のコメントが寄せられた。

 行動規範は、透明性の高い取引を行うことを目的に、竹中工務店が同社の下請け会社との関係を想定して定めたものだ。(1)会食、ゴルフ、旅行などの接待を受けない、(2)中元、歳暮をはじめ個人に対する贈答をいっさい辞退する、(3)その他個人的な利益を受けることをいっさい行わない――といった内容である。さらに、これに反する行為が確認された際には、同社の相談・通報窓口に連絡するよう呼びかけている。

 読者コメントの「合コンに誘えないじゃん」には笑ったが、ほかは考えさせるものだった。接待はビジネスに必要な潤滑油なのか。詳しくは記事をご覧いただくとして、ここでは一部を紹介する。

 <役所に就職して26年。接待はおろか、利害関係者からはコーヒー1杯も、カレンダーの1枚ももらうことは許されておりません。利害関係者との割り勘での飲食も、市民の誤解を招くのでという理由で禁止です。お陰で、学生時代の建築学科の友人はほとんど皆、友人ではなくなりました。民間企業がそこまでやる必要はあるのでしょうか。生きる楽しみの一つを失いますよ>

 コンプライアンス室に在席しているという読者は、「全て禁止と言うのはどんなものでしょうか?」と問いかけ、こんな意見を表明した。

 <ノミニケーションも必要でしょう。効率を上げるためには。許されないのは、「たかり、ゆすり」のたちの悪い「輩」の存在でしょう。人事と教育が良くなれば「輩」は、必然的に減るでしょう。壊滅させなければなりません。交際費は必要でしょう(国税局も認めています)>

 また、別の読者は次のように指摘する。

 <「接待を受ける」ことが悪いのではなく、「接待を受けた相手に便宜を図る」ことが悪いのである。接待を受けても何もしなければ、下心のある接待はやがてなくなるだろう。接待の中には真摯に感謝の意を表したい場合もあれば、交流を深める潤滑剤としての積極的な効果もある。一概に「悪」として退けるのではなく、協力関係を高める手段としてオープンな形を模索すべきだろうか>

 実務の場で経験を積んだ読者の意見は、それぞれに重い。コメントの蓄積が、思考を深化させていく。

 竹中工務店の行動規範は、発注者との関係については特に定めていない。ただ、発注者が接待などを受けることを禁じている場合は、竹中側から利益供与しないと説明している。この部分についても、読者の意見が交錯する。

 <「接待を受ける事は禁じても、接待はするのか」という指摘がありますが、「接待をすることを禁じておいて、自分が接待を受ける」事の方が明らかにおかしいですよね。例えば公共工事であれば、発注者に対して元請けが接待する事など絶対禁止なわけで、その工事で元請けが下請け業者から接待を受けていたら、それは結局公共工事のコストに反映されてしまいます>

 この読者はさらに続けて、次のように導く。

 <「交流を深める潤滑剤」の意義は分かりますが、それは酒食の席を共にする事であって、飲食費用を下請け会社に持たせる事によって「意思の疎通」が生まれるのではない。要するに割り勘にすればいいのです>