全国土木施工管理技士会連合会はこのほど、2000年度に運用を始めた継続学習制度(CPDS)の加入者が10万人を超えたと発表した。2009年1月時点の加入者が約8万9000人だったから、この半年で1万人以上が加入したことになる。最近では、新規に加入する者が1日当たり160人もいるという。同連合会では、CPDSの取得ユニットを総合評価落札方式の入札の審査に使う発注者が増えていることが、加入者増加の主な理由とみている。

 総合評価落札方式の入札に臨む各社は、官積算の精度を高めることをより重視するようになってきており、入札額は調査基準価格に張り付く傾向だ。そうなると、価格以外の要素の差が明暗を分けることになる。技術提案力を磨くことは重要だが、規模がそれほど大きくない工事では、各社の実績や配置予定技術者の実績がものを言う。

 「競合会社が工事の表彰を受けていたり、競合会社の担当技術者が表彰されていたりすると、いい提案をしてもなかなか追い付けない」。舗装工事を手がける会社から、このような話を聞いた。また、CPDSの加入者が急増していることに関連して、技術者のキャリアメークや総合評価対策の一環として社員に継続学習の研修を受けさせると話す建設会社は最近になって多くなったと感じる。

 「1億~2億円程度の規模で、ぜひとも受注したい工事があった。配置予定技術者が継続学習の研修を受けていれば確実に点がもらえることが分かったので、その技術者に研修を受けさせて入札に臨み、受注することができた」。これは、ある建設会社の総合評価対策の担当者から聞いた話だ。この会社が落札後に検証したところ、まさに継続学習の研修の加点に相当する分、すなわちわずか数点の差で受注することができたことが分かったという。

 発注者はつまるところ、成果物の品質を確保でき、また地域住民とのトラブルがないように工程を守って完成させることのできる信頼のおける会社や技術者に頼みたいと思っている――。工事成績評定点の目標を掲げたり、継続学習などの取り組みを強化したりしている複数の有力会社から、こういった話も聞いた。難易度がそれほど高くない案件であればなおさら、発注者の心理として確実に仕事をこなせる能力をみたいと思うのは当然だろう。技術者の教育をはじめとした会社の体制や、それに報いようとする社員の取り組みが、重要になってきている。