東京都中央区銀座3丁目の銀座紙パルプ会館。その屋上では3年前の2006年3月からミツバチを飼育している。ここで採れたはちみつは、同じく銀座に店を構える老舗の菓子店などでスイーツの材料として使われる。――「銀座でミツバチ」といういかにもニュース映えするこの話題は、テレビや新聞で何度も取り上げられているのでご存知の方も多いだろう。NPO法人銀座ミツバチプロジェクトの活動だ。
銀座で始まった「屋上養蜂」という地域活性化モデルは、話題先行の“一発屋”では終わらなかった。今では、自由が丘(目黒区)や中延(品川区)の商店街、多摩センター(多摩市)の地域コミュニティー、栃木県庁、大分合同新聞社の社屋(大分市)などでも屋上養蜂に取り組んでいる。
ゼネコンやデベロッパーの関心も高まってきている。森ビルが横浜市に所有する歴史的建造物「北仲ブリック」では2008年11月から屋上養蜂を始めた(HAMA Boom Boom! - ADMCミツバチプロジェクト)。鹿島は、生物多様性の保全などの観点から、ミツバチを指標にした生態系配慮型の緑地作りの実証実験を都内で開始した。
小さな屋上空間が、ミツバチによってどんどん地域に開かれていく。屋上養蜂にはそんな潜在力がある。今回は銀座と横浜での取材から、屋上養蜂が地域をどのようにつなげていくのかについて、5つの観点からまとめてみた。