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ケンセツ的視点

建設業許可は不適切、厳しく問われた審査責任

2009/05/27

 自宅の建設工事の欠陥で工事をやり直す羽目になったのは、施工者の建設業許可を行政が適切に行わなかったためだ――。こう主張して、長野県茅野市に住む男性が、長野県を相手取り、940万円余りの損害賠償を求めた訴訟の判決が5月13日、長野地裁諏訪支部であった。島根里織裁判官は、「出勤簿だけで専任技術者の要件を満たすと判断したことは、審査を尽くしたといえない」として、被告の県に約575万円を支払うように命じた。

 原告代理人の松村文夫弁護士は、「建設業許可の審査を巡って、県の責任が認められたのは全国でも初めてだろう」と語る。裁判で問われたのは、県による建設業許可の審査の運用だった。まずは、事件の経緯を見ていこう。

 原告は2003年6月、茅野市内の住宅建設会社「輸入住宅直販」と総額1700万円で、工事請負契約を締結。着工時に400万円を支払った。その後、基礎工事に瑕疵が多数見つかったとして、同年11月に契約を解除した。

 訴状によると、(1)基礎外周の立ち上がり部の広い範囲で縁切れが発生した(2)基礎の天端でならしモルタルの処理をしていない(3)土台の緊結に規格外のアンカーボルトを使った(4)基礎の立ち上げ鉄筋を底版鉄筋と結束していない(5)車庫土間の全面に無筋でコンクリートを打設した(6)基礎地下に大量の廃材を投棄した――といったずさんな工事内容だったという。

 この建設会社は、長野県の一般建設業許可を03年1月に取得していた。専任技術者として県内で建築設計事務所を経営する男の名前を使い、出勤簿を偽造するなど許可要件を満たすかのようにして県に申請していた。原告は虚偽申請の実態を告発。県は専任技術者の不在を認めて、03年12月に許可を取り消した。

 原告の男性は05年10月、建設会社を相手取り、工事代金などの返還を求める訴訟を地裁諏訪支部に起こしたが、建設会社に支払い能力がなかったため、06年11月に100万円の受け取りで和解。07年11月に、「長野県知事による建設業許可を取得していたため信用した。県は許可にあたって審査を怠った過失がある」などとして、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を求めて長野県を訴えた。

佐々木 大輔ケンプラッツ

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