建築設計・工事監理の新業務報酬基準と併せて、国土交通省が現在、作成中の「工事監理ガイドライン」をご存知だろうか。建築士法上に定める「工事と設計図書の照合および確認」の業務について、内容や方法などを“目安”として示すもので、工事監理の適正化を狙う。強制力はない。工事監理者は、このガイドラインに添付される「確認項目一覧表」を参考にして、妥当な確認方法を採用することになる。

工事監理ガイドライン案の「確認項目一覧表」の例。国土交通省は、公募した意見に基づいて内容の見直しを進めている(資料:国土交通省)
工事監理ガイドライン案の「確認項目一覧表」の例。国土交通省は、公募した意見に基づいて内容の見直しを進めている(資料:国土交通省)

 新・建築士制度普及協会は、3月25日に名古屋市で建築士法講習会を開催した。国交省が1月に公表したガイドライン案について、実務上の注意点などを示した。説明した講師は、「ガイドラインの法的な影響に要注意だ。裁判では、工事監理業務を適正に行っていたかどうか、裁判官がガイドラインを参考にして判断する可能性がある。一覧表よりも確認項目を増やすのは問題ないが、減らすことには注意してほしい」と強調。工事監理者の都合による恣意(しい)的な削減が問題になり得るとして、注意を呼びかけた。