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ケンセツ的視点

ドラマ「黒部の太陽」で再確認した建設の醍醐味

2009/03/31

 3月21日、22日にフジテレビ系列でドラマ「黒部の太陽」が放映された。手に汗握る現場がリアルに描かれていて見ごたえがあった。

 「自分の仕事はトンネルを掘ることだ」と、職人の魂を行動で感じさせてくれた倉松班の親方、倉松仁志に扮(ふん)する香取慎吾さん。国民のためにプロジェクトを成功させることをスローガンに、トンネル現場を指揮した関西電力黒部川第四建設事務所次長の滝山薫平に扮する小林薫さん。倉松班の良き理解者で新たな技術の導入にチャレンジし続ける熊谷組大町作業所所長の木塚一利に扮するユースケ・サンタマリアさん。それぞれの俳優が役割を理解して演じていたように思えた。建設業界の人は同じような感想を持っただろうか。

 一方で、普段から建設業界にあまりゆかりのない人が見るとどういう感想を持つのだろうかと前から気になっていた。先日、大学で研究をしている知り合いの科学者と話をする機会があって、私が以前から必ず見るようにと念を押してあった「黒部の太陽」についての感想を求めてみた。

 その科学者の第一声は、「人間ドラマに感動したのはもちろんのこと、いまから50年前にあれだけの技術があったことがすごい」だった。続けて「何か共感できるものがあった」と感想を述べた。

 共感できるものとは何かと聞いたところ、「次々に難題が出てきて、そのたびに解決策を考え、失敗すれば次の手を考える。科学の研究でも同じような思考をたどるので共感できた」ということだった。そういう見方もあるのだと実感した。

 彼の感想には、黒四ダムを施工した時代背景が影響していると考える。日本の電力不足を解消するという社会的ニーズや、ほとんど予測不可能な現場、多数の死者が出るほどの環境下での仕事など、現在では考えられないような要素が「黒部の太陽」には詰まっていた。そこで挑戦し続ける技術者を見て、感動し共感するに至ったのだろう。

 私は彼の意見を聞いて、圧倒的な規模の現場に立ち向かい、困難に対して、様々な対策を打ち出して失敗しつつも次に生かして乗り越えていく建設の醍醐味(だいごみ)を再確認した。

 テレビで放映されたことで、様々な職種の人が「黒部の太陽」を見ただろう。また視聴者の中には若い世代もたくさんいたはずだ。それぞれの立場で「黒部の太陽」を見て、どのような意見や感想を持ったのか、ぜひ教えてほしいものだ。

真鍋 政彦日経コンストラクション

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