(前のページから続く)

大阪府は歩道橋に「道先案内」

 都心の幹線道路や鉄道の沿線に屋外広告を出す場合、1年間で1000万円近くかかる場所もあるといわれる。それだけ首都高速道路の橋脚には、広告収入を稼げる潜在能力がある。

 こうしたインフラの潜在能力に気付き始めた自治体もある。

 例えば、大阪府は2005年9月、「企業協働による歩道橋リフレッシュ事業」を始めた。フェリー乗り場や病院、大型店舗への案内板を歩道橋に設置する代わりに、塗り替えなどの補修費用を各企業に負担してもらう。

2005年9月、大阪府泉大津市にあるコンクリート製の歩道橋に設けた案内板。スポンサーは阪九フェリー(北九州市)で、コンクリートのはく落防止などの補修工事費を負担した。次の補修工事が必要になるまでの約10年間、案内板を掲示する (写真:すずき かずみ)
2005年9月、大阪府泉大津市にあるコンクリート製の歩道橋に設けた案内板。スポンサーは阪九フェリー(北九州市)で、コンクリートのはく落防止などの補修工事費を負担した。次の補修工事が必要になるまでの約10年間、案内板を掲示する (写真:すずき かずみ)

 大阪府の場合、広告ではなく道先案内という位置付けだ。条例の適用外となる「道先案内図その他公共上やむを得ないもの」に当てはめた。

 首都高速道路会社や大阪府だけでなく、多くのインフラと負債を抱えて、予算の確保に苦しむ自治体は多い。企業や地域と連携して、インフラの潜在能力の生かし方を柔軟に考えるべきだ。