首都高速道路は車をスムーズに通すことが主な役割だが、ほかにも有効な使い方があった。広告の媒体だ。
首都高速道路会社は2009年3月、東京都中央区の日本橋上空に架かる高架橋の橋脚に広告を取り付けた。2016年の東京オリンピック誘致と日本橋の歴史的な価値を伝える。
広告のスポンサーは、日本橋周辺の企業で構成する名橋「日本橋」保存会と三井不動産。首都高速道路会社は広告料を明らかにしていないものの、数百万円とみられる。大半は広告を設置するための工事費になるが、残りは首都高速道路会社の収入となる。
道路構造物への広告の掲載は通常、東京都の屋外広告物条例で禁じられている。首都高速道路会社は、地元の賛同を得たことや景観に配慮した広告のデザインにしたことなどを半年以上かけて都に説明し、知事の許可を得た。
首都高速道路会社は当面、広告収入を地域の美化に役立てる。例えば、清掃活動に取り組む団体を支援する。さらに、高架橋の塗装工事の間隔を縮めるなど「これまで手の届かなかった維持補修」(同社事業開発部)を実施して景観を保つ。今後、広告収入が増えれば、同社が抱える負債の償還などにも充てる方針だ。