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インフラの維持管理こそ広域化

 新設から維持管理の時代に変わるなか、インフラを自治体単位で管理すると、かえって非効率になるとの意見も多い。

 「国交省と自治体の職員の技術力に、大差はないかもしれない。しかし、インフラの維持管理は、技術力に加えて経験も重要になる」と、国交省のある職員は話す。例えば、橋の定期点検を技術力の高い民間会社に任せても、点検結果を基に補修するのかどうかは自治体の職員が経験に基づいて判断しなければならない。

 「都道府県単位よりも地方整備局単位でインフラを広範囲に管理した方が、職員同士のノウハウを共有したり、蓄積したりしやすい」(先の国交省の職員)。複数の自治体が広域連合をつくり、インフラを共同で管理する方法もありそうだ。

 維持工事や補修工事では入札不調が相次いでいる。発注組織の規模が大きくなれば、発注単位を大きくしたり、入札方式を工夫したりすることで改善の余地が生まれる可能性もある。

 分権委は2009年5月ごろをめどに、税源移譲の方針などをまとめて勧告する計画だ。この勧告を受けて、地方分権の議論が本格的に始まる。

 地方分権にはメリットも多い。例えば、「国に陳情する必要がなくなり、公共事業に対する自治体の意思決定や実施のスピードが速まる」。分権委の委員でもある神奈川県開成町の露木順一町長は、勧告をこう評価する。

 インフラをめぐる仕事と財源、職員の役割分担が、国と自治体でどのように変わるのか、しっかりと見極めたい。