南アルプスにリニア新幹線のトンネルを掘るため、山梨・長野で今年から始まった水平ボーリング調査――。国土交通省への報告に必要な区間は既に掘削済みであるものの、調査の精度を向上させるため、2011年8月までに両県でそれぞれ計3kmを掘削する予定だ。現在、そのための準備工事が始まっている。11月中旬の現地の様子をお届けする。

山梨の現場は山と川に挟まれた狭い土地

 山梨県側の水平ボーリング調査は、早川町新倉(あらくら)で行われている。同町に通じる唯一の幹線道路である県道37号(南アルプス公園線)をたどって現地に向かった。

リニア新幹線の水平ボーリング調査・山梨県早川町
山梨県側の水平ボーリング調査現場の位置。住所は早川町新倉 (地図提供:マピオン (c)Yahoo Japan)
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 県道37号は、富士川の支流である早川沿いに走っている。身延町にあるJR身延線・下部温泉駅を降り立ち目的地に向かった。県道は拡幅・直線化されつつあるものの、区間によっては自動車同士がすれ違えないほど狭い。河川敷の何カ所かに砂利採取場が見られ、ダンプカーがよく通る。

 途中、早川町役場がある辺りで県道は向きを北に変える。出発から40分ほどたつと新倉の集落が見えてくる。現地はここからさらに1.5kmほど先だ。

 明川(みょうが)トンネルを抜けて400mほど先にある橋の向こうに、工事現場っぽい囲いが見えてきた。ここが目的地だ。東西に山が迫っており、南北方向に流れる早川は深い谷底を流れている。周囲に人家はなく、携帯電話の電波は届かない。見上げると県道の新ルートが工事中だ。

リニア新幹線の水平ボーリング調査・山梨県早川町
水平ボーリング現場付近を南側から見たところ。工事を知らせる黄色い立て看板に「大成・明工・銭高JV」の記述があり、橋の向こうに現場がある。このJV(共同事業体)が東海旅客鉄道(JR東海)から工事を受注している (写真:ケンプラッツ)
リニア新幹線の水平ボーリング調査・山梨県早川町
現場に近づく。囲いのある南アルプス側で工事が行われている。現場の向かいの駐車場は、東側(写真では右)に早川が迫っており狭い (写真:ケンプラッツ)
リニア新幹線の水平ボーリング調査・山梨県早川町
周囲の様子。むき出しになった山肌、右は谷底を流れる早川 (写真:ケンプラッツ)

◆next:作業用地を拡張中