連日、猛暑が続いている。あまりの暑さにエアコンを使い続けたくなるが、ここはぐっとこらえてエアコンのスイッチを切ってみた。ヒートアイランド対策の一助にもなるはずだ――。

 自宅(戸建て住宅)1階の南側のリビング・ダイニングに面した掃き出し窓と、北側の吹き抜けに面した2階の窓を開け、通風を取るようにした。風上になる南側のウッドデッキには打ち水をした。

 すると打ち水効果もあって、そよそよと風が入ってきた。「気持ちいいなぁ」と満足していたら、ほどなく「ゴー」という隣家のエアコンの室外機の音に心地よさがかき消された。「ボー」というガス給湯器の作動音も聞こえる。各機器から排出される熱風も吹き込んでくる。

 隣家の室外機の作動音があまりにうるさくて、会話もままならない。「これはたまらない」と思い、やむなく窓を閉めた。自分では“エコな生活”をしたくても、都会ではなかなかうまくいかない。

 自宅はもともと大きな空き地だった一画にある。所有者が土地を分割し、複数の土地購入者がほぼ同時期に住宅を建てた。建て売り住宅ではないので、それぞれの住宅の設計者や工務店はバラバラだ。各住宅の配置や形状は工事が進むまでわからなかった。

 隣家の室外機やガス給湯器が自宅のリビング・ダイニングに面した場所に設置されることは、完成間近に現地に行ってようやくわかった。当時、機器の移設について隣家と交渉しようとしたが、既に設置済みなので言い出すのをはばかられた。違法建築というわけではなく、事を荒立てるつもりもないので、今もそのままにしている。

 現代の快適な生活には設備機器が欠かせない。そのため、屋外に設置する機器も増える一方だ。今後は環境に配慮した設備機器の普及に伴い、エアコンの室外機やガス給湯器だけでなく、エコキュート(高効率ヒートポンプ給湯器機)やエネファーム(家庭用燃料電池)などの大型機器、さらに風力発電機や太陽光発電システムなども庭に並ぶことになる。

 屋外に設置する設備機器の配置について、建築確認申請時や検査時などに行政側でチェックできないものか。機器が出す排熱や排気、騒音などは、近隣関係をめぐる紛争の種になりかねない。家庭部門の温暖化対策を進めるうえでも、機器の効率を損なうような配置は是正指導すべきだろう。

 良心的な設計者なら、街並みや隣家の配置、窓の位置などを考慮して住宅の外観を設計すると思う。それらに加え、隣家の間取りに合わせて、屋外に設置する設備機器の位置も設計図で指定してほしい。ちょっとした気配りで、近隣住民が快適なエコ生活を送ることができるようになるはずだ。待ったなしの地球環境問題に対処するためには、設計者のこうした配慮が欠かせないのではないか。