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ケンセツ的視点

土木技術者は不要なのか

2008/03/10

 2008年3月期決算の業績予想が相次いで発表されている。建設コンサルタントに比べ,黒字予想から赤字への転落や赤字幅の拡大など,業績を下方修正する建設会社の多さが目立つ。

 業績予想の下方修正と併せて目につくのが,各社が打ち出す希望退職者や早期退職者の募集だ。例えば1月18日,「建築職以外の職員の早期退職者を募集する」と発表したのは大本組。土木事業の規模を縮小し,建築事業を強化するという。

 さらに2月15日に若築建設も,「建築技術職以外の希望退職者を募集する」と発表したときには驚いた。同社は大本組と異なり建築より土木の売上高が多く, 2007年3月期の土木の売上高が全売上高の6割以上を占めている。

 海洋土木を得意とする企業の業績は厳しく,国土総合建設や佐伯建設工業も2008年4月の合併に先立って2月,希望退職者をそれぞれ募集。佐伯建設工業では全社員の1割に当たる50人の募集に対し,47人が応募している。

 土木事業が縮小していく傾向にあり,土木を取り巻く情勢が厳しくなるとはいえ,若築建設や大本組の「建築以外の職員を対象とした人員削減」という方針には,「それにしても・・・」という思いが残る。

 民間企業だけではない。自治体でも,「事務系の職員から『発注量の減少に伴って土木系の職員をもっと減らすべきだ』と指摘されるが,十分に反論できない」。このような悩みを,複数の県の土木系職員から聞く。

 公務員をめぐる,従来の安定した雇用環境が崩れつつある実態を受け,名古屋市緑政土木局道路部の野口好夫道路建設課長は,「これからは公務員もキャリア形成の時代に入る」と考え,技術系公務員のキャリアを客観的に評価できる指標として,400項目にも及ぶチェックリストを作成している。

 「人員減」の圧力が高まる一方で,土木の分野でも有資格者の不足が顕在化してきた。定年退職者の再雇用に注力する建設会社が増えるなど,土木系の人材マーケットが動き出す可能性は小さくない。

 転職仲介のリクルートエージェントで建設・不動産業界を担当する清野慎太郎氏は,かつてケンプラッツの取材に対し,「土木技術者は民間市場など他分野への再就職に二の足を踏む傾向がある」とし,「自分のそれまでの経験が通用するかどうか,とまどいを感じるようだ」とみている。

 先の野口氏のチェックリストはこのケンプラッツ誌上で改めて詳細をお伝えするが,建設会社などの技術者も自らの経験やキャリアを客観的にチェックして振り返ることは無駄ではない。自身の将来だけでなく,土木技術者の今後のありようを問い直す契機にもなるはずだ。

西村 隆司日経コンストラクション

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