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ケンセツ的視点

2008年は予定価格も技術基準も原点回帰?

2008/01/08

 2007年は低入札が続く一方、道路の維持修繕工事などで入札参加者がゼロだったり入札金額がすべて予定価格を上回ったりする不調や不落の件数も急増した。


首都高速道路会社は2007年11月までに、東京都の山手通りの6カ所に点在する歩道橋の架設工事を最大で4回繰り返し公告したが、いずれも不調に終わった。2010年度に予定する同通りの拡幅工事の完成がずれ込む恐れも出てきた。写真は架設予定現場の一つ。既存の仮橋を撤去した後、新設の歩道橋を架ける (写真:日経コンストラクション)

 相次ぐ不調や不落に、国や自治体などの発注者は手をこまねいているわけではない。国土交通省は2007年10月から「見積もりの提出を求める方式」を試行。入札参加者が事前に提出した工種ごとの直接工事費の見積書などを基に予定価格を定めて、実勢価格との乖離(かいり)を防ぐ。

 今後は直接工事費だけでなく、直接工事費に一定の率を乗じて積算している共通仮設費などを切り出して、見積もりを取ることも検討する余地がありそうだ。

 受注者の見積もりを基に発注者が現場の条件に応じた予定価格を定めることは、1960年ごろまでは当たり前だった。発注者が現場の条件に関係なくわざわざ標準の歩掛かりや単価を定めて予定価格を積算する今の方がおかしかったのかもしれない。

 予定価格に限らず、2008年は土木構造物の造り方も原点回帰の年になりそうだ。例えば橋はこれまで、橋脚や基礎などの下部工事を地元の建設会社が施工した後、橋桁の架設といった上部工事を全国展開する大手の建設会社や専門工事会社が別の工事として施工することが一般的だった。

 そんななか「今後は橋の上下部一体の工事が増えるはず」とみるのはオリエンタル白石の加賀屋正之取締役。同社は2007年10月、PC(プレストレスト・コンクリート)橋の上部工事を得意とするオリエンタル建設と、基礎工事などを得意とする白石が合併して誕生した。上部と下部の「垂直統合」で技術提案力を高める。

 土木構造物の値段の考え方も変わる。

 例えば、会計検査院は2007年11月に公表した会計検査報告で、鋼橋の重防食塗装を従来のポリウレタン樹脂からフッ素樹脂に変更することでLCC(ライフサイクルコスト)が低減できると指摘。フッ素樹脂はポリウレタン樹脂よりも初期の塗装費用が高いが、耐用年数が長いので塗り替えの費用を抑えられる。指摘を受けた東日本高速道路会社などは、重防食塗装としてフッ素樹脂を採用するように設計要領や管理基準を改めた。

 これまで“業界の常識”だった談合がなくなり始めた2006年と2007年。2008年は業界の常識がさらに変わる年になりそうだ。

瀬川 滋日経コンストラクション

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