力を加えると揺れるベランダの脱落防止手すり。アルミ製であればしなるのは当然であり安全性に問題はないはずだが、一抹の不安はぬぐえない (動画:KEN-Platz)

 まずは動画をご覧いただきたい。見ての通り、ベランダのアルミ製脱落防止手すりは、力を加えるといとも簡単にぐらつく。場所によって異なるが、最もぐらつく個所は振幅が2cmほどにもなろうか――。

 何を隠そう、ここは地上15階の我が家のベランダだ。脱落防止手すりの強度不足が明るみに出たのは10月25日のこと。自宅も同じくアルミ製で気になったので、管理会社に問い合わせてみた。すると、問題になった三協立山アルミ製ではないので危険はないとの回答が返ってきた。

 建物が竣工したのは4年前だ。内覧の際には現場監督が直々に立ち会ってくれた。ベランダの手すりが「やわ」だったのには当初、驚いた。大丈夫なのかと問い質してみたが、「こういう仕様であって問題はありません」とそっけない答えだった。アルミ製なら塗装しなくてすむので、これからの管理者である自分にとっては合理的なことなのだと、妙に自らを納得させたものだ。慣れもあったのか、すぐに気にならなくなった。

 その後、建築界を揺るがすトラブルが立て続けに起こる。アスベスト問題、姉歯事件、エレベーター事故など、集合住宅の暮らしに直結する問題ばかりだ。10月30日に発覚した建材の耐火性能偽装に至っては、国のお墨付きさえも信用できないことが判明した。

 恐らく、我が家の手すりは安全なのだろう。しかし、トラブルが続く建築界の現状をみると疑心暗鬼になってしまう。まじめに製造・施工してくれたはずの人に対して、疑いの目を向けてしまう自分が情けない。一日も早い建築界の信頼回復が求められる。

脱落防止手すりの最も揺れる部分。縦格子を横方向につなぐアルミ材は約2.7mごとに切れている。手すりが切れている部分を力を加えると、折れるように揺れる (写真:KEN-Platz)
脱落防止手すりの最も揺れる部分。縦格子を横方向につなぐアルミ材は約2.7mごとに切れている。手すりが切れている部分を力を加えると、折れるように揺れる (写真:KEN-Platz)