工務店経営者の団体である全建連(全国中小建築工事業団体連合会)から、「JBN工務店全国大会のご案内」と書かれた案内状が届いた。

 案内状には「わが国工務店の全国組織結成に向けて」という副題が付いていた。「あれ、工務店の全国組織であるはずの全建連が、なんでまた全国組織を結成するのだろう?」といぶかりながら読み進めると、こう書いてあった。

 「全建連は国が認めている唯一の工務店経営者の全国組織です。とはいえ、これまでの実情は様々な事情から工務店経営者の集団としての機能を充分に果たし切れていないのが現状でした。………いくつもの団体や全国展開の住宅企業の存在によって、もてる能力が分断され、無念の思いを抱いてきた方も少なくないはずです」

 意図を確かめようと、全建連の会長である青木宏之さんに会った。なぜ、工務店の全国組織が、さらに新組織をつくるのか。青木さんは「このままでは工務店という業態そのものが近い将来に消えてなくなってしまいかねない。工務店が団結しないと未来がないのに、現状の全建連は工務店の組織として機能していない。JBN(Japan Builders Network)は、そのための新しい受け皿を全建連の中につくろうというものだ」と訴えた。

 工務店が元請けになってつくる家はもちろん、ハウスメーカーの家も、デベロッパーの分譲住宅も、最前線の現場で住宅を建設しているのは大工・工務店だ。
 しかし、大工・工務店は、とらえどころのない空気のような存在。あって当たり前。なくなって初めて多くの人や企業が困る。新築はまだ、なんとかなるだろうが、特に立ち行かなくなるのが、より高度な判断と技能が必要になる維持・改修。世の中はストック時代に舵を切っているのに、その足元が揺らいでいる--青木さんはこんな危機感を抱く。

 送られてきた案内状には以下のような文章が続いていた。
 「昨年からスタートした住生活基本法、そして改正建築基準法に基づく確認審査の厳格化、これに続く小規模木造の特例廃止(2008年12月)、瑕疵担保補償の資力確保の義務化(2009年11月)など、これからの2年間は工務店にとっての正念場。この局面を乗り切るには、地域工務店の特色ある技術、サービスのノウハウを結集し、連帯をはかるしかない。こうした瀬戸際におかれた状況こそ、私たち工務店が地域から必要とされ、次の世代が誇りと希望をもって引き継げる企業・産業とするために力を結集する最後のチャンスだと考えています」。

 11月16日に東京都内で開催される全国大会は、家づくりに取り組む工務店に広く参加を呼びかけ、JBNの活動の方向性について発表、賛同者を募るのだという。どんな目標を掲げ、何に取り組んでいくのか。まずは足を運び、この目で確かめてみようと思う。

※11月16日に開催されるJBN工務店全国大会のプログラムはこちら で。