4本目の滑走路となるD滑走路の建設に向けて,地盤改良工事が本格化する羽田空港。大手建設会社を含む15社のJV(共同企業体)が約6000億円で受注したビッグプロジェクトだ。工事を一望できる展望台があるらしい――。こんなうわさを聞いて,さっそく現地を訪れてみた。

 展望台は確かにあった。ところが,入り口には「開設日:月曜日~金曜日(土日祭日は除く)」の張り紙が。休日なら開いているだろうと高をくくり,事前に調べておかなかった自分を嘆いた。


空港の敷地の南端にあるプレハブ3階建ての展望台。砂杭を打設して地盤改良するサンドコンパクション船などが間近に浮かぶ (写真:日経コンストラクション)

 「職員の体制が整っておらず,休日の開館は難しい」。展望台を設置した国土交通省東京空港整備事務所はこう話す。「平日には工事関係者や空港で働く人などが訪れる。1日平均で5組くらいだ」(同事務所)。

 約6000億円のビッグプロジェクトの見学施設としては,あまりにもお粗末ではないだろうか。夏休みの期間などを除けば,小中学生が訪れることも少ないに違いない。

 海外では,建設現場の観光(Construction Sight Seeing)がブームになっている。例えば,ドイツのベルリンでは市街地再開発の現場を一望できる場所にインフォボックスと呼ぶ展望台を設置。ダイバーの止水作業などを,水族館のように見学できる施設も設けた。

 百聞は一見にしかず。建設会社に入社する若手が少なくなるなか,現場を「魅せる」工夫が欠かせない。