(`δ´) 「東京に地震が来るのかね」

(`=´) 「来ます」

(`δ´) 「いつ?、いつだ」

(`=´) 「……30日以内」

 1980年に制作された映画「地震列島」での、地震予知会会長と若き地震学者のやり取りだ。大地震の予兆があるのに、政府がなかなか対策に動かない設定だ。対応の鈍さに業を煮やした若き地震学者が、予知会議で思い切った発言をする場面である。その後、若き地震学者の言葉通りに大地震が襲い、東京は壊滅的な被害を受ける。建物の壊れ方がどのように描かれているかに関心があり、DVDを借りてみた。

 「30日以内」という部分、いまの私なら次のように答える。

(`e´) 「いつかはわかりませんが、今後は平日の勤務時間中に起きます……きっと」

 一部ではよく知られたことだが、日本でここ数年間に起きた大地震の発生日時をみると、平日の勤務時間帯がほとんどない。2004年10月23日の新潟県中越地震は土曜日、2005年3月20日の福岡県西方沖地震は日曜日に起きている。まだ記憶に新しい能登半島地震は2007年3月25日の日曜日、7月16日の新潟県中越沖地震は祝日だった。「ここ数年」のくくりからは外れるが、1995年1月17日の阪神淡路大震災は火曜日の早朝に起きている。

 つまり、平日の勤務時間帯に大地震がオフィスを襲ったときの教訓が乏しい。1年に240日出社して1日10時間オフィスに滞在すると仮定すれば合計2400時間、1年8760時間の4分の1以上をオフィスで過ごす計算だ。だから、平日の勤務時間帯の大地震を想定し、準備を始めるべきだと思う。

 大地震に備えて企業経営者やオフィスワーカーが何をするべきか、KEN-Platz(ケンプラッツ)では「大地震に備える――オフィスの安全と事業継続のために」と題した連載を開始した。大地震後に免震ビルのニーズが高まったことや、地震に強い建物のしくみ、中小ビルを対象にした事業継続計画、オフィスにおける家具の転倒対策などについて順次、お伝えしていく計画だ。

 地震による被害をゼロにすることは不可能だ。しかし、被害を減らすために行動することは可能だ。いつ起こるかを知ることはできないが、起きたらどのような被害が生じるかを予測することはできる。被害がある程度、予測できたら、その被害を最小にするための策を練るという手順だ。