オフィスの専門サイト「オフィス・アイ」で、2007年5月にアクセス数が多かった記事ベスト10を集計したところ、オフィスの移転・改修に関する記事が上位10本のうち、6割を占めた(下の表を参照)。オフィスの空室率が低下し、賃料が上昇しているなか、限りあるスペースを活用して、企業を成長させるオフィス戦略が急務となっている。他社の移転・改修事例から、スペースの有効活用策のヒントを求めようとする読者は少なくないようだ。

オフィス・アイ 5月の好評記事ベスト10
(集計期間2007/5/1~2007/5/31)

順位 記事タイトル
1 富士フイルムと富士ゼロックスが東京ミッドタウンで描く“共存共栄”のカタチ
2 社員が共鳴し合う”オフィス、コクヨオフィスシステムが3度目のリニューアル
3 一人当たりのオフィス面積2.7m2を実現した“ホテリングシステム”、アクセンチュア
4 写真で見る新丸ビル、ベンチャー企業の支援拠点やオフィスフロアなど公開
5 広いフロアを縦動線でつなげコミュニケーションを促す、Sony City
6 議論を活性化させる会議室、三鷹ネットワーク大学
7 変化する組織の日常的な場、米DECの北欧オフィスから発祥
8 新しいワークプレイスで社員の意識変革を促す、ユニクロ東京本部
9 コミュニケーションを活性化するオフィスとは?、ミドリ本社オフィス
10 人間力を最大に引き出す「文化型」のオフィス、日本オフィス学会が10の提言

 例えば、首位となった「富士フイルムと富士ゼロックスが東京ミッドタウンで描く“共存共栄”のカタチ」。東京・六本木のオフィスビル「ミッドタウン・ウエスト」を一棟借りして、グループ企業の本社機能を集約し、シナジー効果の創出を狙うオフィス戦略を描いた。グループ共用の会議室や応接室、カフェテリアなどを低層部にまとめ、執務フロアを5階以上としたのは富士フイルムと富士ゼロックスの人員の増減に柔軟に対応するねらいもある。

 3度目の改修となったコクヨオフィスシステムのライブオフィスの記者発表会の模様を多数の写真とともに報じた記事は、2位だった。このオフィスでは、コクヨファニチャーのデスクシステム「ハイブリッドセル」をいち早く導入している。ハイブリッドセルは、レール状のベースに接合した机を、個人作業や打ち合わせなどの使用目的に合わせて向きを変更できる。固定席を設けないフリーアドレスの効果を高めるツールの一つと位置付けられそうだ。

 3位の「一人当たりのオフィス面積2.7m2を実現した“ホテリングシステム”、アクセンチュア」はオフィス移転事例だ。アクセンチュアは、1996年に従業員一人当たり5.6m2だったオフィスを、2006年9月にほぼ半減しながら、ビジネスサポート体制などを充実させてオフィスの利用者満足度を高めた。日経不動産マーケット情報の2005年調査によれば、一人当たりのオフィス面積は15.2m2。コンサルティング会社がフリーアドレスに向く業態とはいえ、一人当たり2.7m2は驚異的な数字だ。

 「広いフロアを縦動線でつなげコミュニケーションを促す、Sony City」(5位)では、ビルの構造のほか、エスカレーターを導入したビルオーナーの思惑を詳しく解説したことが読者の注目を引いたようだ。ユニクロ東京本部(8位)やミドリ(9位)のように、新しいオフィスをきっかけに、従業員の働き方を変えようとする企業はこれから増えそうだ。