ケンセツ的視点
目次
-
図面作成は営業活動? 弁護士の見解
「図面作成は営業活動」とした判決に対して、福田晴政弁護士は「計画案作成についての申し込みと承諾があったのであり、計画案作成は営業活動ではなく、設計契約の内容になったと考えるべきだ」との見解を示す。
-
「建築をつくる」ことだけが建築家の職能ではない
「建築をつくることが目的じゃない。目的に対して建築の手段をどう使うかを考える」――。西田司さん(オンデザインパートナーズ代表)の言葉は、建築家の職能についてわかりやすく伝えている。
-
話題の二子玉川ライズ、「ミニ東京」化する郊外
個人的な話で恐縮だが、休日に高2の娘と渋谷に出かけたことがある。娘は、用事が終わるとすぐに「帰ろう」と言う。地元に戻って買い物をしたいらしい。都心には、郊外にない店がたくさんあって、スペシャルな気持ちでワクワクしながら買い物をしたがるものだと思っていたのだが…。
-
建築専門家は免震偽装を回避できなかったか
設計者や施工者は、免震偽装のトラブルを事前に回避できなかったか――。国土交通大臣認定の性能評価基準に適合しない免震部材を東洋ゴム工業が使用していた問題は、建築専門家が果たすべき役割や責任範囲を考え直す契機になった。
-
常磐道全通、その先は?
東日本大震災の発生から今日で4年が経過した。福島第一原子力発電所の事故の影響で建設工事が遅れた常磐自動車道は10日前の3月1日に全通し、復旧・復興を促進する役割を果たしている。2013年3月、10月、14年8月と3回にわたり現地を取材し、路上の空間放射線量が極めて高かった時期を知る者として、感慨深い…
-
三陸の被災地で実感した「事前復興」の重要性
東日本大震災から4年。3月初旬に訪れた三陸沿岸の被災地の光景に、被災直後とは違った意味で衝撃を受けた。岩手県陸前高田市、宮城県気仙沼市、同県南三陸町をBRT(バス高速輸送システム)で足早に巡ると、港を通るたびに山と積まれた盛り土が目に飛び込んできた。市街地をかさ上げするための土だ。そのおびただしい土…
-
被災地に根付く「プロボノ」
「プロボノ」という言葉がある。プロが職業上持つ知識やスキル、経験を生かして社会貢献するボランティア活動を指す。東日本大震災の被災地には多くのプロボノが生まれた。
-
復興事業にも「費用対効果」の視点を
これまで何度か東日本大震災の被災地を取材したなかで、忘れられない言葉がある。宮城県気仙沼市舞根(もうね)2地区の高台移転事業を進めている地元のリーダー、畠山孝則さんの言葉だ。
-
福島第一原発には東電と作業員しか居ないのか
東京電力福島第一原子力発電所で、事故の復旧や廃炉に向けて働いているのは誰か。一般の人にこう尋ねると、どんな答えが返ってくるだろう。「作業員」か、あるいは「東京電力」か。いずれも正しいが、重要な関係者が忘れられがちだ。建設会社である。
-
リノベブーム再考(4)「新築より安い」は誠実か
はたしていま、性能の低い住宅に「市場価値が低い」というレッテルがどれだけ貼られているだろうか。建築や不動産のプロが適切な手当てもせず、性能の低い住宅をそのまま市場に流通させている実態が一切ないと言えるだろうか――。
-
リノベブーム再考(3)やり逃げしていませんか?
昨今のリノベーション(リノベ)はどちらかというと、安い中古住宅を買ってかっこいい空間につくり変える手法がもてはやされているように感じる。ただ、安い住宅には安いなりの理由がある。
-
リノベブーム再考(2)中古に「当たり」は少ない
住宅ストックのうち、現行の省エネ基準を満たす住宅は、わずか5%にすぎない。1980年、1992年、1999年、2013年と、省エネ基準は少しずつ強化されてきたが、各時代で適合を義務付けてこなかったツケが回っている。
-
リノベブーム再考(1)新耐震基準に満足するな
単なる修繕や交換を意味するリフォームと違い、用途や機能を変更して性能を向上させたり価値を高めたりする「リノベーション(リノベ)」という言葉が、徐々に市民権を得てきた。
-
窓に結露がびっしり 24時間換気なのになぜ?<追加情報あり>
先日、実家に顔を出したら、南側バルコニーに面した掃き出し窓の下にタオルが置いてあった。窓を見ると結露がびっしり。滴り落ちる水滴をタオルでせき止めているという。
-
活況の賃貸住宅、行く末は「ウサギ小屋」か
人口が減り、住宅ストックは増え、空き家率が上昇し、新築需要は減退しつつある。しかし、賃貸住宅だけは新築を追い求めてスクラップアンドビルドを繰り返している。税対策に振り回されて需給バランスを無視し、高度成長期と同じやり方を延々と続ける賃貸住宅市場は滑稽に見える。
-
「図面作成は営業活動」と設計料の請求を認めず
ある中堅設計事務所の代表から、契約書締結の重要性を痛感させられる話を聞いた。契約書を交わしていなかったために既存ホテルの改修と増築の基本設計料、約2000万円を受領できなかったというのだ。設計事務所の代表によると、発注者に契約書の交付はしていた。しかし発注者は捺印を先延ばしにしたのだという。
-
工事の入札不調が生む設計事務所の隠れた損失
建設費の高騰などから、全国で建築工事の入札不調が相次いでいる。国土交通省の調査によると、2013年度の建築・設備関係の国交省直轄工事における、入札公告件数に対する入札不調・不落の比率は約3割に及ぶ。入札が不調に終われば当然、着工は延期される。これが建築設計事務所に思わぬ損失を招いている。ある大手設計…
-
震災で露見した欠陥住宅問題の衝撃
発生から20年が経過した阪神大震災については、住宅の被災によって露見した欠陥住宅問題が最も強烈に記憶に残っている。当時は建築雑誌の日経アーキテクチュアで駆け出しの記者だった。同問題の取材を通じて学び取り、考えたことは、土木雑誌に転じた今の自分にも影響を与え続けている。
-
防災意識はゆっくりと育まれている
阪神大震災が発生した時、筆者は日経アーキテクチュアの記者をしていた。神戸市庁舎など、途中階がつぶれた建物を見て、「設計や施工のやり方を変えなければ」と驚がくした。実際、建築界の反応は素早く、日本建築学会などを中心として、様々な設計指針が数年のうちに見直されていった。
-
震災を乗り越えた土木の「知恵」と「力」
1995年1月の阪神大震災。あれほどまでに壊滅したインフラを目にすることになるとは想像していなかった。