ケンセツ的視点
目次
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「君の名は。」建築に甘く土木に辛い?
今を時めく大ヒット映画「君の名は。」の新海誠監督の名は、これまで一度だけ日経コンストラクションの誌面に出たことがある。その記事を担当した筆者は、光を繊細に描く映像美を記憶していた。映画を見て、専門誌記者として予想以上に考えさせられた。
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熊本城復旧に歴史ファンの記者があえて暴論
文化財としての価値の維持と、最新の技術による耐震化など安全性の向上――。熊本地震で被災した熊本城の復旧方針について記事に書きながら、「確かに理想はそうだが、果たして可能だろうか」と思った。歴史ファンとして提案したい。
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81年~2000年住宅の8割超が大地震で倒壊の恐れ
1981年以降に建てられた住宅、いわゆる新耐震住宅のうち、1981年から2000年の間に危険な建物があることが改めて明らかになった。日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)が8月31日に発表した調査結果によると、同期間に建てられた住宅のうち8割超が大地震の際に倒壊する恐れがあるという。
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基本設計の価値を見直せ
「有償であるべき業務を無償と考える発注者が多い」「設計者の本来の“売り”はアイデア。基本設計の価値を見直すべきだ」。こんな声が設計者の間から上がっている。
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「設計料はデフレ」と実務者はため息
現在、「設計料に関するアンケート調査」を実施している。自由記入欄には、悲痛とも言える設計者の声が上がっている。
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近隣説明などの報酬を受け取っていますか?
現在、設計報酬に関する取材を進めている。そのなかで度々耳にするのが、「設計以外の業務がどんどん増えているが、その報酬を適正に受け取れていない」という声だ。
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減築は要申請? 正しい法認識が「強い改修」を生む
書籍「プロが読み解く 増改築の法規入門」発刊に寄せて
「減築」に建築確認申請は必要か、否か──。その問いに即答できる建築設計者は少ないのではないか。日経アーキテクチュアが6月28日に発刊した書籍「プロが読み解く 増改築の法規入門」から、その答えをお教えしよう。
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地震に強い家づくりに4号特例は必要か?
地震に強い木造住宅の家づくりについて、今後、法や制度などの大幅な見直しが必要なのだろうか。家づくりのプロとして、仕様の見直しや4号特例に頼らない家づくりを進める工務店も少なくない。
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死角突く建物被害との戦い
「検証 熊本大地震」発売に寄せて
地震国、日本の建築は、次々に現れた課題を克服すべく、技術面・制度面で進化してきた。だが、災害は弱点を狙い撃ちするかのように突いてくる。熊本地震では、耐震化の重要性という原点が改めて問われている。6月14日に発売になったムック「検証 熊本大地震」から、地震被害の歴史と教訓を読み解く。
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被災者を苦しめる「4号特例」
熊本地震を受けて、「4号特例」の見直しがまた議論に上がってきた。4号特例とは、木造戸建て住宅などの建築確認で、構造関係の審査が省略される建築基準法の規定のことだ。
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相次ぐ偽装があぶり出す発注者責任
東亜建設工業は、羽田に続き、福岡、松山空港の地盤改良工事でも施工不良とデータ偽装を認めた。問題は広がっている。発注者は、不正を生んだ背景をどう考えているのだろうか。
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「全棟建て替え」提案は妥当か?
「消費者保護」か「消費者過保護」か。基礎杭の支持層未達が明らかになった横浜市の分譲マンションで、事業主が提案した「全棟建て替え」に対して、賛否両論の声が上がっている。
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大学の土木系学科が“本名”を名乗らぬ不条理
編集を担当している日経コンストラクションの読者投稿欄「ねっとわーく」では、大学などの土木系学科の名称が時々話題になる。今世紀に入る頃から目立つようになったのは、土木という言葉を使わずに「環境」、「社会」、「都市」といった言葉を組み合わせた名称だ。そうしたなか、広島工業大学が土木系学科の名称に「土木」…
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高台移転後も残る限界集落問題
東日本大震災から5年。被災地にただ行くだけでは分からないこともあるが、行かなければ実感できないこともある。この3月、震災復興のただなかにある宮城県石巻市と女川町を訪ねてみて、改めてそう感じた。
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2016年の注目プロジェクトつまみ食い
2016年に竣工を予定している東京都内の注目プロジェクトをまとめた。大手町、赤坂、六本木、そして、銀座のプロジェクトだ。現場の“今”の様子を、過去に報じた記事とともに紹介する。
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消費再増税で住宅業界に起こる困ったこと4項目
政府は、2017年4月に予定している消費税率引き上げの準備を着々と進めている。軽減税率に向けた与党の合意が整い、いよいよ、増税が現実味を帯びてきた。住宅生産団体連合会が要望してきた住宅への軽減税率適用を今回、実現するのは難しいようだ。住宅業界は、消費税率引き上げへの対応を迫られる。
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「姉歯」から10年、杭偽装を生み出す構図をなくせ
10年前の2005年11月に発覚した構造計算書偽造事件で「姉歯」を生み出した建築界の構図は、あれだけ法制度をいじっても、いまだに何も変わっていない。建築界は発注者と受注者がいくつも連なる重層下請負が当たり前。その“建築生態系”では頂点に君臨する強者だけが力を持ち、末端は立場が弱いままだ。
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既存不適格の増築「2分の1ルール」、その後
8月に会津中央病院を再訪した。同病院を初めて訪れたのは2009年12月。既存不適格建築物における増築の、いわゆる「2分の1ルール」の取材が目的だった。同病院の第1期増築の設計が始まったのは05年4月頃。ここで建築設計者の栴工房設計事務所と構造設計者の織本構造設計は様々な課題に直面した。
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告示15号の努力義務化は本当に“吉報”か?
6月25日から施行された改正建築士法。同法の「肝」として注目されるのが、国土交通省告示15号が定める報酬基準に準拠した契約締結の努力義務化だ。設計報酬の適正化につながるはずのこの改正。実は不安やとまどいの声を上げる設計者が少なくない。現在の告示15号が抱える問題点を解決しないままでは、設計者にデメリ…
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地方移住は一方通行だけではない
「50代になって行けというけれども、マイホーム、一生懸命、頑張ってローンを組んで買ったわけですよ、東京に。それが、売り払わないといけない。売れますかと。元取るぐらいに売れますかと」。日本創成会議の「地方移住」提言が議論を呼んでいる。