クローズアップ建材・設備
目次
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沈んだ色調の内装で木梁の連続を軽快に
「北鎌倉の家」は、南北に細長い敷地に建つ。敷地中央には高低差3mほどの擁壁がある。この難条件を突破するため、ひな壇状に二分されたそれぞれの敷地に鉄筋コンクリート造のシャフトを立て、居住空間を橋のように架け渡した。
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和の趣の自然素材で清潔感を演出、根津美術館
東京・南青山の2万1600m2の敷地に10月7日、新装オープンした根津美術館。建築は、広大な日本庭園と調和する和の趣を基調とする。設計者の隈研吾氏は「素材は清潔感のあるものを選んだ」と語る。例えば竹。ホールの天井の突き板に竹を練り付けた。
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アール形状の軒先で“おもてなし”を表現
大阪府の水都再生事業の一環として整備された船着場管理機能を含む賑わい施設だ。設計を手がけたHTAデザイン事務所の高原浩之代表は、「八軒家浜は、かつて京都から淀川を下る船の発着場として賑わった。名前の由来は、ここに八軒の船宿があったこと。その宿が持っていた“おもてなし”が感じられる、水辺に向って開く空…
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従来のイメージをインテリアで一新
福岡の「ホテル イル・パラッツォ」の、20年目の大改装は、外観はいっさい手を加えず、内装を大幅にリニューアルしたところに特徴がある。従来のイメージを一新するために、外観とは全く違う印象のインテリアをいかにつくるか、に主眼を置いている。
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開放的なファサード、内装も耐候性に配慮
インド大使館とインド文化センターは、東京都千代田区の桜の名所の一つ「千鳥ヶ淵」の遊歩道沿いに建つ。設計は公開コンペで選ばれたプランツアソシエイツが手掛けた。都内6つに分散するインド大使館関連施設の改修や新築を同時に計画した。
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構造用合板を内装仕上げに使うコツ
コストダウンを図るために、内装を構造用合板のあらわし仕上げにした住宅やオフィスは少なくない。木の風合いを生かした温かみのある意匠にもうってつけだ。ちょっとした加工で納まりなどを工夫すれば、より洗練された空間を実現できる。オフィスビルでの実例を見てみよう。
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閉じた空間の情熱を質感とともに表現、座・高円寺
テント小屋のような形が印象的な東京・高円寺の劇場「座・高円寺」。芝居小屋ならではの、この異空間にやってきた高揚感を生み出しているのは、仕上げと造形の、硬軟のさじ加減と言える。
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外から見られてよいディテールに
台形の平面を持つ平屋建ての住宅だ。四周はほぼ全面ガラス張り。曲面の壁で囲んだ5つの部屋を、外に向かって配置している。ラウンジと呼ぶ中央のスペースは、曲面の壁の合間を縫って外とつながる。ここは天窓を設けず照明も最小限にして、白い壁に包まれた感じを出した。
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和紙の汚れを目立たなくさせる一工夫
「昔ながらの紙という素材を住まいに取り入れたい」と考え、和紙の壁紙を採用した。汚れたり傷が付いたりする素材であるので、大切に愛着を持って使ってほしい。いつまでもきれいで汚れない人工的な材料ではなく、汚れも付いてしまうが、丁寧に優しく使ってもらいたいと思って提案している。
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ムラの出る塗料で土のイメージに
現場で発生した土を使って建築をつくる。「HouseC」で設計者の中村拓志氏(NAP建築設計事務所代表、東京都世田谷区)が試みたのは、海と山に挟まれた自然豊かな環境にふさわしい暮らしの提案であり、この場所独自の建物のつくり方だ。外壁は、RC造の構造体の表面をはつり、現地の土を珪藻土やモルタルに混ぜて塗…
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波打つ集成材、構造上理想的な曲面を描く
駅舎のように、多くの利用者が使用し、十分な耐久性が必要とされる施設において、素材の選定は極めて重要である。また、駅舎は交通機能のほかに、街の玄関口としての役割も担う。この施設は、日向市のシンボルとなる建築空間を目指して設計した。
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コールテン鋼の鉄錆が内外壁を覆う
1階と2階の壁と天井はコールテン鋼(耐候性鋼板)サンドイッチパネルの錆で覆われている。その壁や天井に用いた鉄錆は空気のように空間を包み込み、床や家具の明確な色彩がその存在感を主張している。
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統一した素材のボックスを組み合わせて空間を構成
ホテルの別館で、一棟貸し切りで利用できる施設である。いくつかの機能に応じて、異なる構造と仕上げのボックスを計画し、それらのボックスを組み合わせて空間を構成している。各ボックスの外壁、軒、床、壁、天井を同一素材とすることを基本方針とし、ボックスごとに素材を統一した。
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シンプルな素材を選定し、都市的な空間を表現
東京都豊島区に計画した二世帯住宅。建て込んだ周辺環境の中で、象徴的な壁に包まれた中庭を配置することで、周囲の変化に左右されない恒久性の高い快適な住空間を提案した。FRCを中心としたシンプルな材料選定により、無機質な質感の伝わる都市的な空間表現を演出している。
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中庭の光を緩やかに内部へと取り込む
カフェレストランを持つ街に開かれた老人施設・SARAは、中庭を核にエントランスホール、メーンダイニング、カフェレストランが取り囲む計画である。仕上げ材は、天然であることと、無垢であることを基本とした。人のかかわる空間として、有機的であり、また時を経て美しく朽ちていくことを考えるからである。
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天井高の異なる空間が中庭介してらせん状に連なる
中庭を介して立体的につながる構成の住宅である。天井高を低く抑えた3層ゾーンと、天井高の高い2層ゾーンとが中庭を軸にらせん状に絡み合う。2層ゾーンの天井材を構造用合板とし、その天井が3層ゾーンとぶつかる壁は、同じ素材を使用する。これによって2層ゾーンと3層ゾーンの空間がつながり、浸透することを狙った。
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優しく包み込むような市民のための大空間
福生市庁舎の敷地全体を占める1階は「フォーラム」と呼び、各課の窓口や情報スペースなど、市民が利用する機能を集めている。市民のためのスペースとして、親しみの持てる、優しく包み込むような大空間を目指した。
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「こんな建材・設備の使い方があったのか」――レビュー会員の建物探訪:広島編(3)
「建材・設備ガイド」のレビュー会員#0485宮森洋一郎さんが設計した「いしうちの森」は、知的障害者が農作業に取り組むための授産施設だ。採用した建材・設備の多くは、本来の用途とは異なる使い方をしている。
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ガラスを木に差し替えたジャロジー窓――レビュー会員の建物探訪:広島編(2)
広島在住の「建材・設備ガイド」のレビュー会員5人が次に向かったのは、レビュー会員#0481中薗哲也さんが設計した「引地歯科医院」だ。2階建ての混構造の建物で、外壁はRC造だが、床スラブや梁を木造としている。
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汚れ防止の工夫が際立つ住宅――レビュー会員の建物探訪:広島編(1)
「建材・設備ガイド」のレビュー会員が設計した建物を、他のレビュー会員が第三者の視点でチェック。採用した建材・設備の選定理由、ディテール、施工性などを解き明かしていく。今回は広島で活躍する設計者に集まってもらった。3回にわたって掲載する。