バーコードで現在位置を把握
DREAMSは、2万室ある桟橋部桁内空間の各部屋に部屋番号バーコード設置し、そのバーコードを点検技術者が端末で読むことで、電波が届きにくい桁下空間でも現在位置の識別を可能としたシステムだ。これなら他の部屋の点検結果の入力ミスを防止できる。地上では、GPS機能により点検対象物の現在位置を点検技術者が把握でき、損傷位置の座標データをシステムに登録できる。一方、点検予定ではないエリアでは、その座標位置が取得できないようにして、点検対象外を点検するといった手戻りがないようにしている。これらの機能などにより、点検技術者の作業を支援するとともに、点検の確実性の向上を図っている。
D滑走路の維持管理では、点検技術者による点検結果のバラツキを防止する対策も施している。点検を、部位・劣化・損傷項目と発生位置や劣化度判定基準に基づいた劣化度などに標準化することで、判断の主観的ブレを極力排除しているのだ。また、点検用のバーコードリーダー端末には、オフィスで今回の点検予定と共に前回の点検結果を一緒にダウンロードし、確認する仕組みとした。点検技術者が容易に前回結果と今回点検結果を比較できるようにして、重要な変状を見過ごさないようにするための工夫である。
劣化指標の数値化などにより「予防保全」を導入
この取り組みでは、現場点検業務の効率化に加え、重要施設への予防保全の考え方を導入し、空港機能の低下を招くような部材劣化に至る前に補修を行うこととしている。このため、DREAMSの構築にあたっては、劣化指標の数値化や点検作業・データベースの標準化を図り、点検技術者による損傷判断の主観的ブレを極力排除すると共に、劣化予測などのデータ分析を可能としている。
同JVでは、この考え方を踏まえ、ライフサイクルマネジメントの概念に基づいた計画的かつ合理的な維持管理の実現を目指している。羽田D滑走路については、供用後2年ということで、さすがに今のところほとんど施設の劣化は見られていないが、性能の定量的な評価とその将来予測に必要な基礎データ(点検データ)をDREAMSにより確実に蓄積し、今後、蓄積データの分析や可視化に取り組んでいくとしている。