3Dモデルに施工管理データをリンク

 今回、納品したCIMデータは、トンネルの3Dモデルに切羽写真や覆工コンクリートの品質管理データ、完成図、施工時の工事写真などをリンクしたものになっている。

 国交省などの発注社が維持管理を行う際、従来は完成図面をもとに様々な書類や資料をめくりながら必要なデータを探し出す、というのが一般的な方法だった。

 その点、今回、納品したCIMモデルは、3Dモデルに各部の材料検査結果などが属性情報として埋め込まれていたり、情報がリンクされていたりするので、発注者が維持管理で必要な情報を素早く参照できるのが特徴だ。

トンネル覆工のCIMモデル(左)には、部分のコンクリート圧縮強度やスランプなどの品質管理データ(右)が属性情報として埋め込まれており、クリックすることですぐに見られる(資料:大林組)
トンネル覆工のCIMモデル(左)には、部分のコンクリート圧縮強度やスランプなどの品質管理データ(右)が属性情報として埋め込まれており、クリックすることですぐに見られる(資料:大林組)

CIMモデルに盛り込まれた属性情報や画像(資料:大林組)
CIMモデルに盛り込まれた属性情報や画像(資料:大林組)

 また、3Dならではの分かりやすさもある。例えば切羽写真は、バラバラにレイアウトされていると立体的な地層の構造が分かりにくいが、3Dモデル上に切羽写真を並べて表示することで、ぐっと分かりやすくなった。

 施工中のトンネル覆工の変位データなども同様に、3Dモデル上に数字の大きさごとに色分け表示されていると、連続的な変化や傾向が直感的に理解しやすい。

3Dモデル上に並べた切羽写真(資料:大林組)
3Dモデル上に並べた切羽写真(資料:大林組)

トンネル周辺の精密な地層も3Dだと把握しやすい(資料:大林組)
トンネル周辺の精密な地層も3Dだと把握しやすい(資料:大林組)

トンネル内面の変位なども3Dモデル上に表示(資料:大林組)
トンネル内面の変位なども3Dモデル上に表示(資料:大林組)

 3DモデルはオートデスクのNavisworksの形式とし、無料のビューワー「Navisworks Freedom 2014」で見られるようにした。データの合計容量は約4.1GBで、1枚のDVDに納められている。データには「納品報告書」も添付されており、3Dモデルの見方などを丁寧に解説した。

添付された「CIMモデル納品報告書」の表紙(左)と3Dモデルの取扱説明書(右)(資料:大林組)
添付された「CIMモデル納品報告書」の表紙(左)と3Dモデルの取扱説明書(右)(資料:大林組)