狭小現場も無線操縦でくまなく撮影

 改修用途で3D写真を使うための新たな撮影手法も編み出した。例えば、改修工事の現場によっては、人が立って入れないような狭いところもある。こんな現場を、まるでほふく前進のようにはい回りながら各部を見て回ったり、寸法を測ったりするのは大変だ。

 そこでU’s Factoryは撮影に使うビデオカメラを台車に載せ、無線操縦式のけん引車やロープで引っ張りながら撮影する方法を編み出した。

 この方法によって、人間が入りにくい狭い場所でも簡単に360度映像を記録できるようになったのだ。

狭い現場の例。立ち上がることはできず、寝そべって内部を移動するだけでもひと苦労だ(写真:U’s Factory)
狭い現場の例。立ち上がることはできず、寝そべって内部を移動するだけでもひと苦労だ(写真:U’s Factory)

台車に載せたビデオカメラ。後方に移動用のロープが見える(写真:U’s Factory)
台車に載せたビデオカメラ。後方に移動用のロープが見える(写真:U’s Factory)

ビデオカメラを載せた台車をロープで引っ張る。後方に見えるのはトータルステーション(写真:U’s Factory)
ビデオカメラを載せた台車をロープで引っ張る。後方に見えるのはトータルステーション(写真:U’s Factory)

 撮影したビデオ映像やトータルステーションで計測した主要点の座標から3D写真をつくる作業は、前述の通りだ。

 もし、このように狭い場所で従来のように手作業による現場計測を行った場合、寸法を測り忘れていたりすると大変だ。特に、当初想定していた方法とは別の改修方法を採用することになった場合、ほぼ間違いなく現場を再訪して測り直しの作業が発生することになる。

 ところが、3D写真があれば、こうした工法の変更なども自由自在だ。改修用の部材の設計から既存設備の撤去、新設する設備の搬入など、オフィスにいながら工事のいろいろな場面を想定し、存分に検討することができるのだ。

 また、3D写真にはコメントも記入できるので、様々な専門家が気になる点をクラウド上で3D写真を共有しながら、最適な工法や手順をディスカッションすることもできる。

3D写真上にコメントを記入する機能(資料:U’s Factory)
3D写真上にコメントを記入する機能(資料:U’s Factory)