台湾大学土木工学科を母体に設立されたBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)研究センター(台大BIM研究中心)の活動は学術的な研究にとどまらない。ウェブサイトやFacebookなどのインターネットによる情報発信を駆使して、産官学のBIM活用を後押しするイベントや朝食会、コンサルティングなどの実践的な活動を活発に行っている。
高雄市の次世代型ライトレールプロジェクトの記事や、台北市の潤弘精密工程におけるBIM活用の記事でお伝えしたように、台湾の建設産業ではもはや3DアニメーションやBIMは特別なものではなく、自然体で使われているようだ。
台湾でのBIM普及に大きな力を発揮しているのが、台湾大学BIM研究センター(台大BIM研究中心)だ。国立台湾大学(台北市)の土木工学科を母体として2009年に設立された。
大学が母体となっている組織だが、台大BIM研究センターの活動内容は学術的な研究や教育だけにとどまらない。建設業界でのBIM導入ニーズに正面から取り組み、BIM関連技術の開発や教育訓練の基盤を提供し、産学官のコラボレーション促進を目指した、非常に実践的なものになっている。
産学官のBIMユーザーが集まる朝食会
例えば、BIM普及に向けたプロモーション活動だ。同センターでは、BIMを導入した企業の関係者が集まって情報交換を行う「レビュー・フォーラム」を年4回開催しているほか、BIM技術と応用についての会議を開催している。
また、産学官のBIM関係者やリーダーが一堂に集まって様々なBIM関連の課題を話し合う「BIM朝食会」も毎月開催している。テーマを毎回変え、企業の経営者や役員のほか建築家、都市開発関係者、学校施設管理者やFM(ファシリティマネジメント)関係者などに特化したBIMの話題を提供している。
台大BIM研究センターではそのほか、BIMユーザーを育成するために、技術や応用についての教育プログラムを設け、BIMソフトの講習会も行っている。さらには企業を対象に4カ月にわたるBIM導入のコンサルティングや、BIM活用力診断なども行っているのだ。