台湾・台北市に本拠を置く建設会社、潤弘精密工程は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)という言葉が生まれる前の1990年代後半から3Dによる設計・施工を行ってきた。現在は商業施設の維持管理にBIMを活用するなど、日本の大手ゼネコンに勝るとも劣らないBIM活用ノウハウを持っている。
日本に近いにもかかわらず、台湾におけるBIM活用の実態や技術レベルはあまり知られていない。
そこで以前から面識のあった国立台湾大学土木工学科教授で、同大学BIM研究センターの所長を務める謝尚賢氏に取材の相談をしたところ、紹介されたのが台北市の建設会社、「潤弘精密工程(Ruentex Engineering & Construction)」だ。
1990年代から3Dによる設計・施工を実施
5月6日、同社を取材したところ、驚くべきBIM活用力を持っていることが判明した。企画や基本設計段階でのBIMモデルを使ったプレゼンテーションから施工段階での施工シミュレーション、さらに維持管理まで、多岐にわたってBIMを活用していたのだ。
台北市内にある潤弘精密工程本社ビルを訪れると、ゼネラルマネジャー(総経理)のシーニン・トーン(Shih-Ning Toong)氏をはじめとする技術者が、会議室で同社のBIM活用について詳細に説明してくれた。
特に驚いたのは、BIMを導入した時期の早さだ。例えば2008年に完成した台湾大学土木工学科の校舎建設プロジェクトでは、既に免震構造の動的シミュレーションや免震装置まわりの詳細構造の検討をBIMで行っていたのだ。
こうした3Dによる検討は、BIMという言葉ができる前の1990年代後半には既に行っていたという。