世界初の“全線架線レス”方式を採用
このLRTには大きな特徴がある。電力で走る電車にもかかわらず、全線にわたって駅間には架線がないことだ。
その秘密は、車両に搭載された「キャパシター」という蓄電装置にある。実は、各駅には車両の停車スペースの上にごく短い架線が取り付けてあり、停車するたびにパンタグラフを上げて架線に接触させる。
そして停車中の20~25秒という短時間でキャパシターに充電し、次の駅まで走行する電力を車両に蓄えるという仕組みだ。充電が終わったら、またパンタグラフを下げて走行を続ける。
また、走行中にブレーキをかけるとモーターが発電し、その電力をキャパシターに充電できるので省エネにも貢献する。
このLRTシステムは、スペインのCAF社製のものだ。高雄市政府捷運工程局のチーフエンジニア、シ・メイメイ氏は、「一部区間で架線レスにしたLRTの例は他国でもあるが、全線にわたって架線をなくしたのは高雄市が初めて」と胸を張る。
高雄市が導入を進めるLRTの注目ポイントは、架線レスのほかにもう一つある。それは、信号制御に導入した「路面電車優先システム」だ。
道路と平面交差することの多いLRTは、道路の信号によって停車を余儀なくされるため、定時運行が難しい面もある。そこで高雄市では、路面電車が近づくと、路面電車を優先的に走行させるように信号を制御し、定時運行と利便性の向上を図るシステムを導入したのだ。