1941年12月8日(日本時間)、旧日本軍の真珠湾攻撃で米海軍の戦艦「アリゾナ」が沈没した。その船体をまたぐように建設されたアリゾナ記念館を、3Dモデル化するプロジェクトが昨年、行われた。水上の建物や海中の船体を様々な手法で計測した3Dデータを、CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)用ソフトに引き継いで作成したものだ。
ハワイのパールハーバーに沈んだ戦艦アリゾナには、当時乗艦していた士官や水兵、海兵隊員など1177人のうち、約900人が今もアリゾナ艦内に眠っている。そして沈没から70年以上たった今でも、船体からは黒い重油がふつふつと海面に浮上し続けている。
陸上、水中の3D計測技術を駆使
3月30日から4月2日まで、米国・ヒューストンで開催された3Dレーザースキャナー関連技術の展示会イベント「SPAR International 2015」(以下、SPAR 2015)で、アリゾナ記念館の3Dモデル化プロジェクトの詳細が明らかになった。
発表された3Dモデルは、水上の記念館本体だけでなく、海面下の戦艦アリゾナまでもがモデル化されており、3本の砲身が並んだ砲塔もリアルに再現されていた。
既存建物の3Dモデル化には、3Dレーザースキャナーによる計測がよく用いられる。しかし、海中部分にあるアリゾナの船体は測れない。いったい、どのように計測したのだろうか。
この疑問に答えたのが、3Dモデル作成を行った米国国立公園局(National Park Service)のスコット・パウロウスキ(Scott Pawlowski)氏と、米国オートデスクのピート・ケルゼイ(Pete Kelsey)副社長だ。