地道な舗装作業で地下水流入が減少

 さて、ここからは現在進められている作業についても見ていこう。メルトダウンを起こした1号機から3号機では、今でも原子炉内に毎日約320tの水を循環注入して冷却作業を続けている。昨年はこの冷却水に、毎日約400トンもの地下水が流入し、汚染された冷却水はその分だけ増えていた。そのため、福島第一原子力発電所の敷地内では、2~3日に1基の割合で1000トンタンクの増設作業に追われていた。

 それが今年は少し楽になった。地下水の流入量が日量約300トンに減っているのだ。タンクの増設ピッチも3~4日に1基と、やや緩やかになった。

 地下水の流入量が減った理由の1つは、敷地内の地道な舗装作業が進んだからだ。

福島第一原子力発電所の内の未舗装部分。雨が降ると地面にしみ込み、地下水が増える一員となっている(写真:Yahoo!ニュース 個人オーサー代表)
福島第一原子力発電所の内の未舗装部分。雨が降ると地面にしみ込み、地下水が増える一員となっている(写真:Yahoo!ニュース 個人オーサー代表)

コンクリート舗装個所の例。雨は地下に浸透することはない(写真:Yahoo!ニュース 個人オーサー代表)
コンクリート舗装個所の例。雨は地下に浸透することはない(写真:Yahoo!ニュース 個人オーサー代表)

 現場を訪れた日は雨だった。敷地内に降った雨は未舗装の部分に水たまりを作り、やがて地下水となる。そこで未舗装の部分にアスファルトやコンクリートで舗装することによって雨がしみ込まないようにした。

 こうした地道な対策が功を奏し、地下水の流入量は1年間で4分の1ほど減ったのだ。