燃料デブリの取り出しに向け、建設ITを総動員
3号機などは今でも建屋の上では作業できないほど放射線量が高い。ましてや放射線の源である燃料デブリが横たわる格納容器の中には、とても人は入れない。また格納容器に近づくことすらもそう簡単ではないだろう。
こうした過酷な状況にある原子炉格納容器から、燃料デブリを取り出す工法の検討も着々と進んでいる。それは各種カメラによる現場の見える化、遠隔操作、無人化施工など、ITや電子・機械工学の技術を総動員したものになりそうだ。
現在、廃炉・汚染水対策事業事務局(資源エネルギー庁が選定。事務局事業者:三菱総合研究所)が中心となり、国内外の団体や企業の知恵を公募して燃料デブリの取り出し手順や工法、要素技術についての検討が行われている。
同事務局では、昨年8月18日、各号機の原子炉格納容器内に水を張り、放射線の影響を最小限に抑えながら作業を進める案を“たたき台”として提示した。格納容器上部から遠隔操作で燃料デブリの切断や回収を行い、使用済み燃料プールへと運ぶ一連の作業をすべて水中で行う案だ。
しかし、格納容器を水で満たしてしまうと荷重も相当なものになり、地震の被害を受けた原子炉建屋への影響もかなり大きくなるという問題点もある。
そこで同事務局は昨年8月27日まで、格納容器に全部に水を張らないで燃料デブリの切断や回収を行う代替案の概念検討と要素技術の実現可能性検討を公募し、のべ11事業者が採択された。
各事業者の中間報告が今年2月24日に同事務局のウェブサイトで公開された。採択された事業者の中には清水建設や大成建設、IHI、浜松ホトニクスといった日本企業の名前も見られる。
その検討内容を見ると。燃料デブリをレーザー光線で切断する案や、ドリルで切削し集じん機で回収する案、強い放射線に耐えるテレビカメラなどがあった。燃料デブリの取り出しはかなり現実的になってきたことがうかがわれる。
燃料デブリの固まりや破片がどこにあるのかは、テレビカメラの映像だけではわからないこともある。そこで欠かせないのが放射線の見える化だ。
Create Technologies Limited、Oliver Crispin Robotics Limitedのグループは、ヘビのように自在に動くスネークアームロボットの先端に、N-Visageガンマカメラという装置を取り付けて、燃料デブリの位置を見える化する方法について検討をしている。