土木分野では、これまで独自に発展してきた情報化施工や3Dモデルによる設計、3Dレーザースキャナー、UAV(無人飛行体)が、データによって統合されつつある。現場を高精度に計測した3Dデータを施工計画に生かし、再び現場での施工に生かすというシームレスなデータ活用によって、土木工事の生産性はいよいよ高まりそうだ。

 土木分野では、約10年前から導入されてきた情報化施工に加えて、ここ数年はCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)や3Dレーザースキャナー、そしてUAV(無人飛行体)など、IT活用の幅がどんどん広がっている。

 これらの機器やソフトの間では、共通データ形式などを通じて少しずつデータ交換が行えるようになってきた。

 そして最近、これらの機器やシステムで使われる3Dモデルなどのデータを、クラウドプラットフォームで共有し、現場での測量から設計、施工、そして維持管理までシームレスに使うシステムが登場してきた。代表的な例をいくつか紹介していこう。

スマートコンストラクション(コマツ):UAVやICT建機をクラウドで統合、“未来の現場”を目指す

 コマツは、UAVによる空撮写真、3Dレーザースキャナーで計測された点群データをもとに作られた高精度の地形データ、情報化施工用のデータなどをクラウドのプラットフォームで統合し、現地測量から施工、そして維持管理までの情報をつなぐ「スマートコンストラクション」を2015年1月20日に発表した。

スマートコンストラクションの概念図(資料:コマツ)
スマートコンストラクションの概念図(資料:コマツ)

スマートコンストラクションのウェブサイト(資料:コマツ)
スマートコンストラクションのウェブサイト(資料:コマツ)

 その中核となるのが、6つの機能を持つ「KomConnect(コム・コネクト)」というクラウドプラットフォームだ。

 6つの機能とは、(1)無人ヘリや3Dレーザースキャナーなどを使った「現況の高精度測量」、(2)施工計画を行いやすくする「施工完成図面の3次元化」、(3)土質や埋設物などの「変動要因の調査・解析」、(4)リアルタイムなシミュレーションを行いながらの「施工計画の作成」、(5)3DデータとICT建機による「高度に知能化された施工」、そして(6)自然災害による復旧にも役立つ「完工後の施工データ活用」を指す。

 コマツは2013年から3Dマシンコントロールなどの情報化施工用のシステムを組み込んだICT建機を開発し、市場に投入してきた。ICTブルドーザー「D61PXi」やICT油圧ショベル「PC200i」などだ。

 スマートコンストラクションは、こうしたICT建機を生かして、建設現場が抱える様々な課題を解決する“未来の現場”を実現する建設現場用のICTソリューションとして位置付けられており、コマツレンタルが提供する。

ICTブルドーザー「D61PXi」(写真:家入龍太)
ICTブルドーザー「D61PXi」(写真:家入龍太)

シリンダーにはセンサーなどが組み込まれている(写真:家入龍太)
シリンダーにはセンサーなどが組み込まれている(写真:家入龍太)