トプコンが本格的UAVセットを発売へ

 低価格化が進む一方で、プロ仕様のUAVも進化している。

 UAVの飛行から写真撮影、そして3Dモデル化までの一連の作業には、専門的な知識とスキルが必要だ。特に本格的なプロ用のUAVは、機体と制御システム、カメラをユーザーが別々に購入してセッティングする必要がある。

 また、工事現場上を飛行させながら、航空測量などに使用する連続写真を撮影するための飛行ルートの設定や写真撮影のタイミングにも専門的なスキルが必要だ。

 この作業を簡単に行えるようにと、測量機器大手のトプコンはUAVと3Dモデル化用のソフトウエアをパッケージにしたセット製品を2015年2月に発売する予定だ。価格はオープンだが、価格はソフトだけで100万円弱程度という。これに使用するUAVの機体価格が加わる。

3D画像計測統合ソフトウエア「Image Master UAS」(資料:トプコン)
3D画像計測統合ソフトウエア「Image Master UAS」(資料:トプコン)

6ロータータイプのUAV(写真:家入龍太)
6ロータータイプのUAV(写真:家入龍太)

4ロータータイプのUAV(写真:家入龍太)
4ロータータイプのUAV(写真:家入龍太)

※(UAS=Unmanned Aerial System。無人飛行システムの意味)

UAVの飛行ルートの設定(資料:トプコン)
UAVの飛行ルートの設定(資料:トプコン)

作成した現場の3D点群データ(資料:トプコン)
作成した現場の3D点群データ(資料:トプコン)

 この製品の核となるのが、3D画像計測統合ソフトウエア「Image Master UAS」だ。現場上空で写真を撮る位置の設定から、UAVの空撮写真から3D点群データを作成することまでを一貫して行うことができる。

 Image Master UASには、トプコンが持つ画像処理技術を活用して、大量の空撮画像を自動解析できる画像処理エンジンを搭載している。

 2枚の写真から標定点を自動抽出してステレオ写真を作るためのエンジンだ。そのとき、地形の変化点を自動的に発見する「エッジマッチング」という独自のアルゴリズムを採用している。

 今回、ソフトとUAVとのセット販売を行うのは、空撮から3D点群化までを簡単に行えるようにするためだ。同社では現場の現況測量のほか、土木での出来形管理や維持管理、災害調査など幅広い活用分野を想定している。

 ハードとソフトが一体化した製品が登場することで、本格的なUAVの活用も手軽に行えるようになりそうだ。

2014年12月12日に行われたトプコンによる記者会見(写真:家入龍太)
2014年12月12日に行われたトプコンによる記者会見(写真:家入龍太)

墜落防止のための安全対策も課題に

 工事現場での写真撮影などに手軽に使えるようになったUAVだが、墜落事故も時々発生しているようだ。

 前出の小野組ではUAVの運用ルールを決めて絶対に事故を起こさないように注意している。坂詰組も風の日は飛行を控え、市街地での使用には注意を払うなど、安全に配慮しながら使っている。

 ある専門家は「趣味用に販売されているUAVは、ローターを駆動するモーターに電力を供給する部品の寿命が30~50時間と短いものもある。メーカーも“おもちゃ”と割り切って製造している」と語る。つまり使える時間は30時間程度で、それを超えた機体は安全性が求められる場所では使用しない方が安心ということだ。

 この専門家によると、プロ用の機種は、この部品の使用時間が定めてあり、一定時間飛行した後は内蔵するソフトウエアによってモーターが起動しなくなる仕組みが搭載されたものもあるという。