オートデスクが3Dプリンター開発企業を支援

 米オートデスクはこのほか、3Dプリンターの技術革新を外部と協業しながら推進していくため、「スパーク投資基金(The Spark Investment Fund)」を設け、3Dプリンター関連業界に投資していくことを発表した。

 その投資規模は、数年間で1億ドル、日本円に換算すると約120億円にも上る巨額なものだ。

 この基金は3Dプリンター関連技術を開発する企業や研究者などを対象とするもので、投資対象分野はハードウエアやソフトウエアのほか、造形用の材料、取引の場、3Dプリンターのユーザー向けのスペースなどだ。

 投資した企業などには資金提供のほか、パートナーとして開発者向けの各種サポートサービスも提供する。

 そして、3Dプリンターによる“新しい産業革命”を促進しようとする企業家や設立間もない企業や研究者をサポートするとともに、米オートデスク自身はプラットフォーム規格「スパーク」と同社の3Dプリンター「エンバー」、および造形材料を改良していくと表明した。

 米オートデスクは「スパーク投資基金」のウェブサイトを立ち上げ、投資希望者からの申請を受け付けている。

 3Dプリンター関連のソフト、ハード、造形材料の開発について、米オートデスクがこうして三位一体で乗り出したことで、関連業界は大きな刺激を受けるだろう。3Dプリンターの普及に拍車がかかりそうだ。

スパーク投資基金のウェブサイト(資料:米オートデスク)
スパーク投資基金のウェブサイト(資料:米オートデスク)

 3Dプリンターが、自由な形だけでなく、同じ部材の中で材質を変えながら造形できるようになり、最適な材質の分布も設計要素に入ってくるようになると、ますます高度なシミュレーションと最適化の追求が必要となる。こうした3Dプリンターの進歩により、「ジェネレーティブ・デザイン」による設計が求められる場面も現実になりそうだ。未知の生物のような形をしたビルや橋が街中にあふれる日が来るかもしれない。