2013年にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入した法務省大臣官房施設課は、BIMならではの「設計の見える化」を矯正施設や庁舎の設計に生かしている。BIMソフトを使って3Dモデルをつくるのは同課の職員自身だ。その数は現在5~6人だが、矯正施設の設計にBIMの効果が高いことが実証され、今後、法務省のインハウスエンジニアによるBIM活用は広がりそうだ。

 「ある矯正施設に設けるルーバーの設計を新人の職員がBIMソフトで設計したところ、合格点の出来栄えだった」と、法務省大臣官房施設課 施設設計調整官の那花弘行氏は驚きを隠さない。

 この矯正施設の屋上には運動場がつくられるため、周囲からの視界を遮断するために設けるルーバーの幅や間隔、角度などを適切に設計する必要がある。担当した新人職員は、設計経験がほとんどないにもかかわらず、要求を満足する成果を出した。

 2次元の平面図、立面図、断面図の組み合わせによる設計では、斜め方向からのすき間の大きさや視野の広がりが分かりにくいが、BIMなら完成後のルーバーを見るようにいろいろな方向からの見え方をチェックできる。それが新人職員の経験不足を補ったのだ。

新人職員がBIMで設計したルーバー(資料:法務省)
新人職員がBIMで設計したルーバー(資料:法務省)