国際認証を日本で実施することも視野に

 IFC検定とは別に、buildingSMARTによるIFCの国際認証システム(IFC Certification)もある。buildingSMARTのウェブサイトには、各ソフトの対応状況が一覧表で掲載されている。現状(Status)の欄を見ると書き出し(Export)と読み込み(Import)での認証情報が記載されているが、読み書き両方で認証を得たものは少なく、どちらか片方だけ認証済みというものが目立つ。

buildingSMARTのウェブサイトに公開されているIFC国際認証の審査状況(資料:buildingSMART)
buildingSMARTのウェブサイトに公開されているIFC国際認証の審査状況(資料:buildingSMART)

 このリストの中にはRevitやArchiCAD、Vectorworks、Tekla Structuresなどの名だたる欧米のBIMソフトが入っているが、国産ベンダーのソフトは見当たらない。

 「審査は欧米で英語を使って行われるので、国産ベンダーにとっては地理的、言語的な条件で国際認証は取得しにくいのが現状だ」と前置きしたうえで足達氏は、「今回、IAI日本が行うIFC検定は国際認証と整合した方法で実施する。そして日本が開発した設備や仕上げなどの情報をIFCで交換する基準の採用や国際認証への反映を、buildingSMARTにも積極的に提案していく。近い将来は国際IFC認証を日本でも行えるようにしたいと考えている」(同)という。

 例えば、ISO9000やISO14000といった国際規格の審査は、日本でも行われている。これと同じように、国際IFC認証を国内で行おうというのだ。

 日本の解析やシミュレーション、業務用ソフトが国際IFC認証を受けると、海外からの注目度はいっそう高まるに違いない。そして、これまで欧米の後を追いかけてきた日本のBIMソフトや活用技術が、逆に海外に輸出されるようになる可能性がある。

 日本発のIFC検定を、国際IFC認証と統合できるまでに持っていくことは、日本の建設業のBIMによる国際展開を後押しすることにつながる。buildingSMARTへの働きかけを通じた国際化は、IAI日本だけでなく建築設計事務所や建設会社などのユーザー、ソフトベンダー、そして建築確認申請などの手続きを所轄する官公庁も含めた、日本全体の課題として取り組むべきものだろう。

日本で開催されたbuildingSMARTの国際大会(写真:IAI日本)
日本で開催されたbuildingSMARTの国際大会(写真:IAI日本)

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。

<訂正>初出時に「日本IAI」と記述している箇所がありましたが、「IAI日本」に訂正しました。(2014年10月15日10時30分)