国際規格よりも先を行く日本のニーズ

 日本の設計基準に基づいた実務的なソフトでもIFC対応が進んできている。例えば日積サーベイの積算ソフト「ヘリオス」は、RevitやArchiCAD、GLOOBEのデータをIFC形式で読み込み、積算や見積もりができる。

 積算作業で作成した詳細なデータは、さらにIFC形式で福井コンピュータアーキテクトの「J-BIM 施工図CAD」に受け渡せるようになっている。

積算・見積もり用ソフト「ヘリオス(ΗΕΛΙΟΣ)」のIFCによるデータ連携例(資料:日積サーベイ)
積算・見積もり用ソフト「ヘリオス(ΗΕΛΙΟΣ)」のIFCによるデータ連携例(資料:日積サーベイ)

 各ソフト間でIFC形式を使ってデータ交換を行う際には、データ交換を行う際にエラーが起こらないように、IFCの仕様をソフトでお互い調整している。また、積算・見積もりには、天井や壁、床の仕上げ仕様や巾木(はばき)、廻縁(まわりぶち)といった、現在のIFCでは定義されていない部材のデータを交換するために、IFCを特別に拡張して対応することも行われている。

下半分は天井仕上げや巾木などをIFCでデータ交換するためにIFCを拡張した部分(資料:日積サーベイ)
下半分は天井仕上げや巾木などをIFCでデータ交換するためにIFCを拡張した部分(資料:日積サーベイ)

 このように日本では既存の様々な業務用ソフトがIFCに対応し、BIMモデルを様々な実務で使うようになった結果、国際規格が追いついて行かなくなった面もある。これは、“ガラパゴス的”な日本流の拡張ではなく、欧米ではまだBIMモデルで行われていない業務にIFCを活用する先端的な取り組みと言ってもよいだろう。