欧米よりもIFCの活用が盛んな日本

 日本のBIM活用は欧米に数年遅れていると言われているが、BIMモデルデータを活用した解析やシミュレーション、見積もりなどは日本の方が活発に行われている。2009年には、国際仮想BIMコンペ「Build London Live 2009」で日本チーム「BIM Japan」が最優秀賞を獲得した。かつてはBIMに関しては欧米に比べてよちよち歩きだった日本だが、5年前には既に、BIMモデルデータを他のソフトと連携させて、日照解析、構造解析、エネルギー解析、避難解析といった様々なシミュレーションを行ったことで国際的に高い評価を受けているのだ。

国際仮想BIMコンペ「Build London Live 2009」で日本チームが最優秀賞を獲得する原動力となった様々なシミュレーション(資料:チーム「BIM Japan」)
国際仮想BIMコンペ「Build London Live 2009」で日本チームが最優秀賞を獲得する原動力となった様々なシミュレーション(資料:チーム「BIM Japan」)

日本の“BIM元年”と言われる2009年当時のチーム「BIM Japan」のメンバー。現在もBIMの第一線で活躍している(写真:家入龍太)
日本の“BIM元年”と言われる2009年当時のチーム「BIM Japan」のメンバー。現在もBIMの第一線で活躍している(写真:家入龍太)

 当時はBIMモデルと解析ソフトとのデータ交換には、DWG形式を使う例が多かったが、最近は風の流れなどをシミュレーションする流体解析(CFD)をはじめ、IFC形式への対応が進んでいる。

 2011年にIAI日本が開催した仮想BIMコンペ「Build Live Kobe 2011」に参加した大林組のチーム「Orange Ark」は、意匠設計用のArchiCADと設備設計や干渉チェック、風解析などのソフトをIFC形式で連携させて様々な解析を行った。

 大林組は以前からIFC形式によるデータ交換を重視しており、3年前には多種多様なソフトとIFCによるデータ連携を実現していたのだ。

チーム「Orange Ark」で使ったソフト(青色)とデータ交換に使ったファイル形式(オレンジ色)。ほとんどIFC形式を使っている(資料:大林組)
チーム「Orange Ark」で使ったソフト(青色)とデータ交換に使ったファイル形式(オレンジ色)。ほとんどIFC形式を使っている(資料:大林組)

大林組大阪本店で行われたチーム「Orange Ark」の作業(写真:家入龍太)
大林組大阪本店で行われたチーム「Orange Ark」の作業(写真:家入龍太)