膨大なIFC規格を絞り込む

 仕様が決まっているはずのIFC形式を使ったデータ交換で、エラーが起こるのはなぜか。それはIFC形式が非常に多くの定義からなっているからだ。

 IFC検定委員会の委員長を務める足達嘉信氏(セコム)は、互換性の問題について次のように説明する。

 「IFCでのデータ交換で難しいのは読み込みだ。例えば曲線の表し方でも単純な円弧だけでなく複雑な曲線を描くNURBS(ナーブス)曲線など、様々なものがある。IFCを読み込む側のソフトに対応していない曲線があると、その部分が欠落することになる」

IFC検定について説明するIAI日本 IFC検定委員会の足達嘉信委員長(写真:家入龍太)
IFC検定について説明するIAI日本 IFC検定委員会の足達嘉信委員長(写真:家入龍太)

 そこで、IFCの規格開発を行う国際組織、buildingSMARTの日本支部、IAI日本は、日本で使われているBIMソフトを対象に、IFCの互換性を高めるための日本独自の「IFC検定」を行うことになった。

 IAI日本の設備・FM分科会(リーダー:須賀工業の三木秀樹氏)は、2013年度に設備設計で使われるBIMモデルをIFC形式で受け渡すための規格をまとめた。2014年度のIFC検定では、設備設計用のBIMソフトを対象にこの規格に対応したIFCデータが書き出せるかどうかをチェックする予定だ。

 各BIMソフトがすべてのIFC規格に対応した読み書き機能を備えていれば問題がないが、現実には難しい。そこで今回のIFC検定では、実務でよく使われる形状や属性情報の「書き出し」機能をチェックすることにしている。

 書き出したデータはIFC形式のデータを表示する数種類の「ブラウザーソフト」を使って表示できるかを確認する。そして検定結果としては、検定を受けたソフトのうち書き出せない要素など、IFC交換上の制限事項を分かりやすく公開する。そうすることで、データが欠落した場合なども原因が分かりやすくなる。

 「IFCで定義されている要素のうち、どれが書き出せてどれが書き出せないかをチェックし、その結果を“見える化”するのが目的だ。書き出す要素の種類を主要なものに絞ることで、読み込み側のソフトも対応しやすくなる」と足達氏は言う。

 広範なIFC規格の中で、使う範囲をあえて限定して、まずは読み込み・書き出しともに確実なデータ交換が行いやすくする。これがIFC検定の狙いだ。

 ちなみに検定を受けるにはIAI日本の会員になる必要があり、検定料は会員の種別によって異なる。A会員(年会費12万円)の検定料は1回40万円、B会員(同20万円)の検定料は同20万円の予定だ。