PDF図面上に朱書きした個所をリストで整理:Bluebeam Revu (パナソニック)

 PDF化した図面は、CADなどのソフトを持っていない人でも開いて見ることができるので、図面の配布や確認の手段としてよく使われる。

 PDFファイルに直接、変更指示などを書き込んで保存できるソフトは、図面を印刷したり朱書き後にスキャンしたりすることなく、図面のチェック結果をメールなどで返送できるので便利だ。

 こうしたPDFファイルの修正ソフトは様々なものが市販されているが、アメリカの技術者や設計者の間で「Bluebeam Revu」というWindows7/8用のソフトが静かに流行しているという。パナソニックはこのソフトの日本語版を10月に発売する予定だ。

 Bluebeam Revu には図面のチェック特化した様々な機能が搭載されているが、特に便利なのは朱書き個所を自動的にリスト形式で整理し、図面とリストが連動することだ。

朱書き内容を一覧表にして表示できる「Bluebeam Revu」(資料:パナソニック)
朱書き内容を一覧表にして表示できる「Bluebeam Revu」(資料:パナソニック)

 朱書きの一覧表には、雲マークや文字など朱書きの種別や日付とともに、コメント内容や作成者の名前が書き込まれる。設計者はその朱書きを見て図面の修正を行い、検討結果や進ちょく状況を確認、そして完了確認のチェックボックスをONにして、保存できる。

 PDFファイル上に朱書きされていても、図面上を人間の目で探していくのだと、紙図面を見ているのと変わらない。しかし、朱書き個所が自動的にリストとして整理されていると、見落とす心配がなくなる。

 このほかの機能としては、2枚の図面を比較して違っている部分を見つけて雲マークを表示するというものがある。この場合も違っている個所は雲マークと連動した一覧表が作成される。

左右の2枚の図面を比較して違っている部分に雲マークを付ける機能。画面下に一覧表が表示されている(資料:パナソニック)
左右の2枚の図面を比較して違っている部分に雲マークを付ける機能。画面下に一覧表が表示されている(資料:パナソニック)

 さらに図面上のある部分を多角形で囲んで面積や体積を計算したり、図面上にあるトイレなどの図形を選んで同じものを検索・カウントしたりする機能も備えている。

面積や体積の計算機能(資料:パナソニック)
面積や体積の計算機能(資料:パナソニック)

 Bluebeam Revuには様々なBIM/CIMソフト用からPDFファイルを作成するプラグインが含まれている。このプラグインを使うと、AutoCADやRevit、Navisworks、SketchUp Proなどのソフトから直接、3次元PDFファイルを書き出すことができる。そしてBluebeam Revuによって3次元PDFの上にも修正事項などを書き込むことができるようになる。

3次元PDF上に朱書きされた修正事項(資料:パナソニック)
3次元PDF上に朱書きされた修正事項(資料:パナソニック)

4Kモニターを備えた20型タブレットパソコンでのデモ。Windows8版は高解像度の4Kモニターでも、アイコンが小さくなりすぎないようになっている(写真:家入龍太)
4Kモニターを備えた20型タブレットパソコンでのデモ。Windows8版は高解像度の4Kモニターでも、アイコンが小さくなりすぎないようになっている(写真:家入龍太)

 これらのPDFファイルは、クラウドやサーバーによって建設関係者間で共有することも可能だ。ちなみに価格は4万円前後を予定している。

家入龍太(いえいり・りょうた)
1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2006年、ケンプラッツ上にブログサイト「イエイリ建設ITラボ」を開設。2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/ツイッターやfacebookでも発言している。