従来の2次元図面を3Dモデル化して見積もりや干渉チェックを行ったり、図面の変更個所や朱書き個所を自動的にリスト化したりできるシステムが開発された。iPhoneの機能を活用して紙図面の縮尺を自由に変えて表示・印刷できるアプリも登場している。2次元図面を効率的に活用する方法を紹介しよう。

 BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)の普及に伴い、従来の2次元CADや紙図面の存在価値は相対的に低くなりつつある。

 紙図面や2次元CADはこれまで、設計者や技術者の目を通すことによって3Dの建物や構造物を頭の中に描いたり、図面の修正個所を探し出したりというワークフローで扱われることが多かった。しかし、IT技術の活用によって、2次元図面をBIMやCIMのように効率的に活用できるようにするソフトやシステムも登場してきた。今回はこうした動きをいくつか紹介したい。

 紹介するソフトやサービスは、いずれもBIMやCIMのソフトのように属性情報の要素を持ち、それを活用している。例えば、レイヤーや図面内の図形を属性情報のように使って3Dモデルや見積書の作成を行う、写真化された図面を自由な縮尺で表示・印刷する、図面の修正個所などに種別や処理状況などの情報を付加してリスト化する、といった方法だ。

 こうしたシステムを通じて、設計の見える化やクラウドによる情報共有などを実践することで、IT(情報通信技術)による生産性向上が実現していくのではないだろうか。

Jw_cad図面から5分で見積書を作成:K-engineサービス(K-engine)

 LIXILグループのK-engine(本社:東京都新宿区)は、待ち時間も含めるとこれまで約1週間掛かっていた新築住宅の見積もり作業を、わずか5分に短縮するというクラウドシステム「K-engineサービス」を9月から本格スタートさせた。

 見積もりのもとになるのは、建築業界で今なお高いシェアを誇るフリーの2次元CADソフト「Jw_cad for Windows」の図面データ、そして、K-engineが独自につくり上げた建材・設備のデータベースだ。所定の様式で描かれた図面データをクラウドにアップロードし、簡単な設定を行えば、5分で施主への見積書や実行予算などを正確に計算してデータを戻してくれる。

「K-engineサービス」の概念図(資料:K-engine)
「K-engineサービス」の概念図(資料:K-engine)

見積もりのもとになるJw_cadの図面データ(資料:K-engine)
見積もりのもとになるJw_cadの図面データ(資料:K-engine)

わずか5分でクラウドから戻ってきた見積書(資料:K-engine)
わずか5分でクラウドから戻ってきた見積書(資料:K-engine)

 Jw_cadの図面から住宅の壁や部屋などの寸法や、システムキッチンなどの建材・設備などを拾い出し、それらに単価を掛けて集計する機能は、BIMソフトを連想させる。

 なぜ、こんなことができるかというと、Jw_cadの図面データにある「レイヤー」(画層)をBIMの属性情報代わりに使用し、クラウドが部材の種類などを区別できるようにしているのだ。