2030年までにすべての新設建物の化石燃料使用ゼロを目指すAIA(米国建築家協会)は、専用のウェブサイトを立ち上げ、会員が設計した建物のエネルギー使用率などを集計し、フィードバックする取り組みを行っている。いわば、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)による省エネ設計の「PDCA」を回す仕組みだ。

 米国の非営利団体、「Architecture 2030」は、建設分野における地球環境保護活動として、建築の省エネ設計を促す「2030チャレンジ(The 2030 Challenge)」という目標を設定している。

 建物が消費する化石燃料や排出する温室効果ガスや、エネルギー消費率(EUI:建物の単位面積当たりのエネルギー消費量)を2010年から5年ごとに改善し、2030年にはすべての新築建物の化石燃料消費をゼロ(カーボンニュートラル)にしようという計画だ。

 AIAでは2005年に、「2030チャレンジ」の目標を共有することを決めた。2009年には「2030コミットメント(AIA 2030 Commitment)」という活動を開始し、建築設計の省エネ度を報告し、目標の達成度を共有するためのクラウドサービスを立ち上げた。会員の中から有志を募り、省エネ設計を実践したデータをウェブサイトで収集・集計し、様々な形で省エネ設計の“成績”をフィードバックするというものだ。

「AIA 2030 Commitment」のクラウドサービスの省エネ設計報告の画面。メンバー全員によるエネルギー消費率(EUI)の計画達成度などがリアルタイムに集計される(資料:AIA)
「AIA 2030 Commitment」のクラウドサービスの省エネ設計報告の画面。メンバー全員によるエネルギー消費率(EUI)の計画達成度などがリアルタイムに集計される(資料:AIA)