建物が消費する1次エネルギーを年間通じてゼロにする「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」が進化してきた。再生可能エネルギーで発電した電力を購入する「カーボンオフセット」に依存せず、自前で作り出したエネルギーだけでZEBを実現することが可能になりつつある。

 大林組は4月8日、東京都清瀬市にある同社技術研究所の本館テクノステーションのZEB化工事が完了したことを発表した。

 空調や衛生、電気設備の改善や太陽光発電設備の増設などの工事を行った結果、常時約200人が活動する大規模ビルとしては、日本初の「ソースZEB」を達成できる建物になったという。

左写真は大林組技術研究所本館テクノステーション、右はソースZEB化工事完了後に上空から見たところ。建物の屋上には太陽光発電パネルが敷き詰められている(写真:大林組)
左写真は大林組技術研究所本館テクノステーション、右はソースZEB化工事完了後に上空から見たところ。建物の屋上には太陽光発電パネルが敷き詰められている(写真:大林組)

 ZEBにもいろいろな種類がある。「エミッションZEB」は、省エネなどの対策を行ったうえで、残ったCO2排出量を外部から再生可能エネルギーを購入する「カーボンオフセット」によって総合的にゼロにしたものだ。

 「ソースZEB」は、さらにハードルが高い。消費する石炭、石油、天然ガスなどの「1次エネルギー」を、カーボンオフセットに頼ることなく、自前の太陽光発電などの再生可能エネルギーなどによって年間トータルでゼロにした建物を指す。