UAVの空撮写真で地形のCIMモデルを作成

 飛行機から撮った地上の写真を使って地図をつくる航空測量の技術は、これまでも大がかりな地図を製作するときに使われてきた。それが最近、UAVの技術開発によって、低空から撮影した高解像度の写真を使って地形の精密な3Dモデルを作成する手段として、新たな注目を集め始めている。

 5月27日、28日に、宮城県仙台市の「夢メッセみやぎ」で開催された「テクノシステムフェア2014」の展示会場では、UAVで撮影した写真を使った写真測量システムが展示されていた。

 UAVから道路や法面などの写真を撮影し、これを写真測量用のソフトに入力し、処理すると、自動的に地形の3Dモデルがつくれるというわけだ。

 地上からの撮影だと、視点が低くなり、地形を斜めの角度から撮影することになる。その結果、地形の凹凸に隠れて撮影できない部分も出てきがちだ。

 その点、UAVは高度や視角が自由自在にコントロールできるので、地形を直角に近い角度で撮影したり、いろいろな高度から地形を撮影したりすることで、死角が少ない。そのため写真測量用ソフトによる処理も高精度で行えるのだ。

倉敷紡績の3D写真測量ソフト「Kuraves」の画面(左)と作成した地形の3Dモデル(写真:家入龍太)
倉敷紡績の3D写真測量ソフト「Kuraves」の画面(左)と作成した地形の3Dモデル(写真:家入龍太)
倉敷紡績の3D写真測量ソフト「Kuraves」の画面(左)と作成した地形の3Dモデル(写真:家入龍太)

 こうしてつくった地形の3Dモデルは、CIMソフトに取り込んで設計検討に使ったり、様々な図面を作成したりするのに使える。さらに3Dモデルに航空写真のテクスチャーを張り付けて、フルカラーの3Dプリンターで模型を出力すると、とてもリアルで精密な地形の3Dモデルをつく ることもできる。

3Dプリンターで作った精密な地形模型(写真:家入龍太)
3Dプリンターで作った精密な地形模型(写真:家入龍太)

 最近、実用化されてきたUAVが、伝統的な写真測量ソフトと連携することで、新たな利用価値が生まれつつあるようだ。