無人機などCIMに関連するハード解説も充実

 今回の報告書は、 CIMに関連する様々なハードウエアの解説に力を入れているのが特徴だ。多くのCIM関連ソフトを紹介していた2012年度の報告書とは大きく異なる傾向といえる。

 今回重きを置いているのは、CIMを使ったワークフローのあり方や情報化施工推進戦略との連携、海外のCIM関連規格への対応、維持管理における情報管理の動向、基盤地図情報など、これまでに開発されてきたシステムや規格とCIMとの整合性や調整をどのように図っていくかということだ。

 紹介されているハードは、大きく分けると、CIMモデルへの入力を行うためのハードと、CIMモデルからの出力を行うためのハードといえるだろう。CIMモデルへの入力を担うハードとしては、例えば3Dレーザースキャナー、UAV(無人機)、無線センサーなどの測量機器や計測機器について述べている。また、CIMモデルからの出力用ハードとしては、3Dプリンターや3Dマシンコントロール、トータルステーションなどが取り上げられた。

報告書に掲載された「3次元面計測手法の守備範囲と特徴」の図。CIMモデルに入力するデータを収集するハードやシステムについての解説が充実している(資料:JACIC)
報告書に掲載された「3次元面計測手法の守備範囲と特徴」の図。CIMモデルに入力するデータを収集するハードやシステムについての解説が充実している(資料:JACIC)

 建築分野でBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)に関わっている人がこの報告書を読むと、CGや3Dによるプレゼンテーションやデザインの要素があまりにも少ないので、驚くかもしれない。逆に、建築分野のBIM活用においては、3Dプリンターや3Dレーザースキャナーはともかく、UAVや無線センサーなどの機器の話が出てくることはほとんどないように思う。

 建築物は基本的に人がその中で仕事や生活をするものなので、人間はたいていの部分に入り込めるようになっている。しかし、土木構造物は人間が近付けない部分が多い。そのため、CIMモデルに入力する情報の収集手段として、構造物にアクセスしたり、遠い場所から計測したりするUAVや無線センサーなどに対するニーズが高いのだと思われる。

 この傾向は最近、開催された土木分野向けの展示会にも現れている。