日本建設情報総合センター(JACIC)の「CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)技術検討会」は5月、「平成25年度報告」を公開した。CIMソフトの活用についての内容は意外なほど少なく、CIMを使ったワークフローや情報化施工との連携や、UAV(無人機)や3Dレーザースキャナーなどのハードウエアについて多く触れられていた。そこに感じられたのは、CIMモデルに構造物の情報を集約しながら土木の生産性向上を図ろうという目的意識だ。
国交省の「CIM制度委員会」と連携して、CIM活用の技術的な課題を検討している日本建設情報総合センター(JACIC)の「CIM技術検討会」はこのほど、昨年度の活動をまとめた「平成25年度報告」(PDF)を公開した。
まず、注目したいのは、施工段階でCIMを導入した建設会社から提供された7つの事例紹介だ。
施工現場で実践された7つのCIM活用事例
大林組は「近畿自動車道紀勢線見草トンネル工事」で、トンネルデータや計測・品質データ、現況地形データを1つのCIMモデルに統合し、施工管理に有効活用した。
さらにトンネル内面の覆工が終わった段階で3Dレーザースキャナーなどによって現況データを計測し、維持管理に重要な情報となる「初期モデル」を作成・提供することを検討しているという。
安藤ハザマは「佐世保市北部浄水場(仮称)統合事業」で、維持管理性の向上を目的として構造物の埋設配管を3Dモデル化した。大成建設は切り盛り土量約540万m3の「南山東部土地区画整理事業建設工事」で、施工形状や転圧回数、密度管理などの情報を「見える化」するためにCIMを導入した。