iPadで場所打ち杭を見える化!フジタが施工管理システムを開発

 建物や構造物を支える杭の1つにアースドリル杭工法というものがある。まず、杭の外径と同じ「ケーシング」というパイプの中に人工泥水を満たしながら内部をドリルで掘削。

 その後、鉄筋かごとコンクリート打設用の「トレミー管」を穴の底に入れて、コンクリートを打設しながら徐々にケーシングとトレミー管を引き上げていき、最終的に鉄筋コンクリート杭が地中にできるという方法だ。

アースドリル工法で施工中の杭先端部。鉄筋かごやケーシング、杭頭バイブレーターなどが見える(左)。アースドリル杭の施工手順(資料:フジタ)
アースドリル工法で施工中の杭先端部。鉄筋かごやケーシング、杭頭バイブレーターなどが見える(左)。アースドリル杭の施工手順(資料:フジタ)

 この工法の施工管理のポイントは、人工泥水の中に正確に鉄筋かごを設置したり、ケーシングとトレミー管の先端をコンクリートの打設面より2m以上に保ちながら引き上げたりすることだ。

 これらの作業は穴壁の崩壊を防ぐために穴に満たされた人工泥水の中で行われるため、地上からは見えない。

 そこでフジタは、フジタ式アースドリル杭工法で見えにくい土中の施工情報をリアルタイムに管理する「場所打ち杭施工管理システム」を開発した。現場最前線でiPadによって土中を見える化するシステムだ。

システム概要図(資料:フジタ)
システム概要図(資料:フジタ)

見えにくい土中のコンクリート打設面やトレミー管先端の位置関係も一目瞭然(資料:フジタ)
見えにくい土中のコンクリート打設面やトレミー管先端の位置関係も一目瞭然(資料:フジタ)

 現場でiPadに計測数値や試験結果などを入力することで、コンクリートの高さやトレミー管先端の位置を自動計算し、iPadの画面にリアルタイムで表示する。そのため、人工泥水に埋まった土中の状況が手に取るようにわかる。

 現場でiPadを使うためには、入力方法もシンプルでなければならない。そこで、今回、フジタは画面から数値を打ち込みやすくするための独自のテンキーを開発した。

独自開発したテンキー(資料:フジタ)
独自開発したテンキー(資料:フジタ)

 アースドリル杭の施工データは、iPadからサーバーに送られて、インターネット経由で事務所や支店からでもリアルタイムに見られる。品質管理の帳票を作成するための管理ファイルをExcel形式で取り出すことも可能だ。