福島第一の新技術を建設業に生かせ
福島第一原発の廃炉には40年はかかると見られている。各原子炉建屋から使用済み燃料棒を取り出した後は、溶け落ちた核燃料を回収するという、さらに難度の高い作業が待ち受けている。
今回の震災で被害はなかった5号機と6号機は、実物大の実証試験に活用しながら、廃炉を完了するまで技術開発がさらに進むことになる。
一般の工事で新工法などを開発する場合は、コストが技術開発の鍵となるが、福島第一原発の場合はコストにかかわらず、廃炉を実現するための技術開発が必要となる。今後も3Dモデルやロボットによる無人化施工などの新技術が開発されていくだろう。その労力やコスト、成果を福島第一原発の廃炉だけに消費するのはもったいない。
福島第一原発の現場から生まれた新しい技術は、今後、寿命を迎える世界各国の原子炉の廃炉作業にも役立つに違いない。そして一般の建物や土木構造物の維持管理や補修、災害時の復旧などに使えるものがたくさんある。
東京電力は自社ウェブサイトに「福島第一原子力発電所の現況」というコーナーを設け、作業の状況や放射線量などのデータを、文書や写真、動画などで幅広く公開している。建築・土木の技術者はこのサイトを時々チェックしてみると、参考になる情報が見つかることも多いだろう。
家入龍太の公式ブログ「建設ITワールド」は、http://www.ieiri-lab.jp/。ツイッターやfacebookでも発言している。